「屋外ネコ」ゼロ目指して

見つけた猫を撮影する参加者たち

撮影したネコの特徴をノラネコ確認表に記入

住民とACNら協働で調査
名瀬鳩浜町 適正飼養の意識向上へ

奄美ネコ問題ネットワーク(ACN、久野優子代表)と奄美市名瀬鳩浜町の住民は31日、協働で地域にいる野良猫の調査を行った。町内会の協力のもと、住民と奄美市環境対策課職員ら約20人が参加。得た情報は市の野良猫TNR(繁殖抑制を目的とした不妊手術)事業に活用される。このプロセスを住民と一緒に行うことにより、実態把握とともに適正飼養の意識向上を図り、将来的に屋外ネコゼロを目指す。

ACNは奄美猫部、NPO法人奄美野鳥の会、奄美哺乳類研究会の3団体が中心となり、ネコ問題の啓発を推進してきた。同調査は希少動物を襲って生態系を脅かすノネコ(野生化したネコ)になるのを防ぐのが目的。「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」の「ノネコの発生源対策 市街地地区の野良猫モニタリング」に位置づけられ、奄美市がACNに事業を委託している。

2019年5月に名瀬大熊町で初めて同調査が行われ、2020年から名瀬有屋町でもスタート、鳩浜町は今年から始まり、3カ所目にあたる。

同調査では、地域の屋外にどんなネコがどこにどのくらいいるのかを町を歩いて調査し、個体識別できるよう情報を記録。得た情報は市のTNR事業に提供される。調査はTNRの事前と事後にそれぞれ2回ずつ行い、不妊化率の上昇を目指す。鳩浜町では今月10日に事前1回目の調査を実施、この日は2回目だった。

調査に参加した住人は7班に分かれて担当エリアを40分ほど歩き、外にいるネコを見つけたらカメラで撮影し、個体の特徴をメモ。鳩浜集会場に戻った後はノラネコ確認表にネコの模様や耳カット(不妊手術済みの印)の有無などの特徴を記入し、地図上に発見場所を記した。

2回の調査で計23匹を確認し、そのうち手術済み20匹、手術不明3匹だった。TNRは11月ごろ、事後調査は12月の予定。来年3月ごろには住民向け報告会を予定している。

ACNの久野代表は「調査に参加すると身近な問題として感じていただいている手ごたえがある。住民の方々の協力あってのことなので感謝。他の地域にも広げ、奄美市街地の野良猫対策の一助になれば」と語った。

調査に参加した住民の小川千代美さん(65)は「思ったより野良猫が少なかった。猫を飼っているので、探すのは楽しかった。TNRに役立つのはいいと思うが、猫が嫌いな人もいるので、手術後の対策も考えてほしい」。平井忍町内会長(70)は「家の庭に野良猫がフンをするので困っている。日頃困っている人もいるので、手術して元の場所に戻すのではなく、なんとかしてほしい」と語った。