当事者活動の重要性を説く

講演を行った日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構代表理事の内布智之氏

「ピア部会キックオフイベント」
自立支援協

 奄美地区地域自立支援協議会(寿山一昭会長)は24日、障がいを持つ人、支援に関わる人を対象とした「ピア部会キックオフイベント」を同市市民交流センター3階大多目的室で開いた。支援者を中心に約50人が聴講。日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構代表理事の内布(うちぬの)智之氏(49)が「当事者活動の必要性と今後のピア活動」と題し講演。内布さんの統合失調症の発症、回復に至る経験を踏まえた障がいを持つ人などによる「当事者活動」の重要性などについて学んだ。

 「ピア」とは、英語の「peer」で仲間、対等、同等の意味。ピアサポートとは「同じような人、仲間による支え合い」のこと。転じて障がい、アルコール依存など同じような悩みを持つ人同士で支え合う活動を指す。

 内布さんは、20代後半に統合失調症を発病後、服薬を続けながらデイケア(リハビリテーション)を受け、回復とともにピアサポートの活動を開始し、現理事に就任。その経緯を自ら「リカバリーストーリー」と名付け年表として可視化し、公表している。

 今回の講演で内布さんは、その年表と共に、ピアサポート活動の考えの基本として国連で2006年12月に採択され、日本でも14年に批准した「障がい者の権利に関する条約」とそのスローガン「私たちのことを、私たち抜きで決めないで」を紹介。あわせて、「(障がい者などの)当事者のことを決める会議に当事者の不在が続く原因は何か」と参加者たちに問い掛け、当事者活動の必要性とその意味をただした。

 またピアサポート活動は①ミクロの市町村②メゾの都道府県③マクロの国―とその活動領域が、広がっていることを指摘。改めて、社会における障がい者などによる当事者活動の必要性を説くとともに「地域共生社会」は、これによって成り立つと話した。

 内布さんは講演の最後に、奄美の人々へのメッセージとして「誰しも得意、不得意があって当たり前。今ある能力を守りつつ新たな可能性を信じること。自分は工賃500円から今では東京で一人暮らし出来るまでになっている。責任が伴うリスクがあってもやりたいことはやる。その点は障がい者、健常者を問わない大事なことだと思う」と話し講話を締めた。

 同イベントは講話のほかに参加者同士の意見交換、内布さんへの質問の時間も設けられた。