要支援高齢者ら避難できず

奄美市に要介護高齢者などの適切な避難に関する要望書を手渡す盛谷会長(左)

津波警報発令時
個別避難計画の作成要請 介護事業所協・専門員協

 奄美大島介護事業所協議会(盛谷一郎会長)と県介護支援専門員協議会奄美大島・喜界島支部(中里浩然支部長)は18日、障がい者や介護が必要な高齢者らが、災害発生時に迅速かつ確実に避難できる体制づくりなどを求める要望書を奄美市に提出した。16日未明の津波警報発令時に、一人での避難が困難な要介護高齢者らの多くが、避難できずにいたことなどから、盛谷会長は「個別避難計画の作成など、行政と民間、地域住民が連携し、円滑な避難支援体制をつくることが必要」などとし、市の協力を求めた。

 同協議会などによると、16日未明に津波警報が発令された際、多くの市民が車などで高台に避難した一方で、要介護高齢者の多くは、避難したくても一人では避難できず、自宅で不安な夜を過ごしたという。

 要望書では、昨年5月に改正された災害対策基本法で、地方自治体の努力義務とされた「個別避難計画の作成」に向けた取り組みを求め、「要支援者への避難支援について、居宅介護支援事業者や福祉事業者と積極的に連携することが重要」などと指摘。実際の避難については「地域の協力が不可欠。今回の事案を教訓に、次の災害に備えることが大切」などと、行政と民間事業所、地域住民の連携に向け、民生委員や自治会などへの働きかけを要請した。

 盛谷会長は「介護事業所が持っている要介護者に関する情報を行政や地域住民と共有し、協力して障がい者や高齢者が必要とする支援を提供できるようにしたい」と話した。

 災害対策基本法では、優先度の高い避難行動要支援者の個別避難計画については、「市町村が主体となり、地域の実情に応じて5年程度で作成に取り組む」よう努力目標となっているが、同市ではまだ具体的な計画作成作業は行われていない。

 要望書を受け取った高齢者福祉課の平田博行課長は「今回の避難行動をしっかり検証するとともに、要支援者の置かれている現状なども把握しながら、避難計画がつくれるよう取り組んでいきたい」などとしている。