タンカン収穫 果皮への傷注意

2月に入ると収穫・出荷が本格化するタンカン。山間部にある果樹園でも着色が進んでいる

 

下場は「2月10日まで」目安、過熟で劣化へ
光センサー利用「処方箋」提供

 

 特産果樹タンカンは、2月1日から奄美大島選果場への持ち込みが始まり、品質保証可能な光センサー選果機が活用される。下場(平場)の果樹園では収穫されている所もある中、関係機関は腐敗果につながることから果皮に傷をつけない作業を呼びかけるとともに、目安として「下場は2月10日ごろまでの収穫」を求めている。

 JAあまみ大島事業本部によると、2022年産は裏年にあたるため生産量は平年の3分の2程度まで減少する見通しだが、品質は上々。1月12日の最終調査では平均糖度が11・56度まで伸びており、良好な仕上がりが確認された。

 収穫に当たっては「樹上選果・摘果の徹底」を呼びかけるとともに、果皮に傷をつけることがないよう、果実の枝の切り口を短くしなければならない。同本部果樹技術指導員の大山綱治さんは「切り口が長い状態で収穫し、サンテナ(果実を収納する箱)に入れてしまうと他の果実に傷をつけてしまい、腐敗につながる恐れがある。また、果実の色のりは大切だが、熟し過ぎると味が劣化してしまう。下場は2月10日ごろまでの収穫、山間部に果樹園がある上場は10~15日にかけて収穫を開始し、2月末までか3月の第1週までに終えてほしい」と指摘する。こうした果実収穫に関する相談等は同本部経済課(電話0997・52・4331)まで。

 JA共販だけでなく委託(選果のみ)を含めた光センサー利用を促進するため、今季から奄美大島市町村が足並みをそろえて選果手数料を助成する。光センサーを通したタンカンの品質が「良」以上の場合、キロ当たり26円の選果手数料が無料になるもので、規格外品は助成対象にならない。選果場利用にあたってはスムーズな運営を図るため、利用者に対し持ち込み時期や数量の事前申請(問い合わせ先=奄美大島選果場電話0997・54・9600)を呼びかけている。

 光センサーを通すことで品質面のデータが集積できる。JAなど関係機関は「処方箋」として利用者に還元する方針で、「良いものはさらに伸ばし、改善が必要なものは技術向上のためのアドバイスを図やグラフなどでわかりやすく示し、目で見て理解できよう提供していきたい」。生産・品質が安定した産地づくりに役立てていく。