大高野球部とともに「戦った」新聞部も歓喜

野球部とともに「すっとごれ精神」で戦った新聞部部員と池之上博秋顧問(真ん中)

 

大高ジャーナル最新号の11号(大島高校)

 
 
「すっとごれ精神」たたえる
大高ジャーナル最新号

 

 

 「8年ぶり悲願達成へ 離島校のハンデ乗り越え」―そんな見出しが躍る紙面を制作した県立大島高校新聞部(池之上博秋顧問、部員10人)は27日、最新号となる校内新聞「大高ジャーナル」を発行した。活動の実績が認められ、今回から全面カラー刷りの1500部の発行となったばかりの同部が、同校野球部の大躍進を「すっとごれ(負けるもんか)精神」と称し、紙面を通したたえた。

 2018年発足以来、3年連続で学校新聞コンクールの最高賞を受賞している同部は「学校と地域の発展に貢献する新聞」を目指し、生徒だけでなく保護者、OB、地域住民からも高い支持を得ている。しかし、そんな実力派の同部だが、今回の同校野球部の活躍には、喜びとともにこれまでにない経験を味わったという。

 3年生が抜け、今回の制作から部長を務める2年畠山葉生さんは「新体制になった不安、予定していた記事から急きょ初となるスポーツ紙面へと変更した焦り、そして、部長の責任の重さなど、課題が一気に押し寄せ大変だった」と本音を吐露した。しかし続けて「(同学年の)2年生の部員がいつも支えてくれ、特に1年生たちが積極的に意見を出し、大きな記事を率先して書いてくれた」と笑顔で話す。

 紙面に目を通すと1面には、1年生の赤井洸太さんの署名の取材記事が二つもある。「野球のことなら朝まで語れる」という赤井さんの力が、トップ記事で存分に発揮されている。

 全国で注目を集める2年のエース・大野稼頭央さんの「独占インタビュー」を試みたのは1年生の関佳世さん。「3回取材した」という努力による、他の新聞では聞き出せない先輩後輩の関係ならではの話が紙面を飾っている。

 また野球部以外にもALT(外国語指導助手)の英語インタビューを試みたのは、やはり1年生の有田結愛さんで、写真の使用許可を得る経験をこなし、同じく1年の時田琥太郎さんは「コクト君とまーじんま!」と題したユーモアあふれる野球クイズに挑戦。普段はスポーツを見ないという中での挑戦となった。

 2年生も負けてはいない。隈元莉々亜さんは野球のコラムの他、2年ぶりの開催となった同校創立150周年を祝った記念体育祭を4面で執筆。副部長の脇田菖吾さんも体育祭記事に関わりながら、SNSでのやり取りのみで書き上げたという連載インタビュー記事、「釣り人発見」を書き上げ、安定感ある執筆を継続。

 自らの闘病生活を「10万分の0・3を超えて 記者自伝」として連載を開始した野﨑瞬さんは、その確かな文章力を武器に、新聞の顔とも言える「論説」をこなした。伊藤凛さんは、野球部のハイライト記事だけでなく、読むだけで食欲がそそられる「放課後ぐるぐるめ」を書き上げた。

 そして、川田翔太さんは「世界自然遺産登録」を祝い、三太郎峠で希少動植物を巡る散策に挑戦。モダマの自生地などの自然の素晴らしさとともに盗掘の事実を記事で伝えた。

 「今回の経験は部としても大きく成長出来たはず。これからは、不安ではなく『自信』を持って部員みんなで新聞制作に取り組めると思う」と、改めて「部長」として今後の新聞部を語った畠山さん。野球部の大躍進は、それを見守り続けた新聞部にも「すっとごれ精神」を与えていた。