大島、目標届かず11位

11位でゴールした大島のアンカー大川=隼人運動場

県地区対抗女子駅伝大会

 【鹿児島】第35回鹿児島県地区対抗女子駅伝大会は30日、霧島市の隼人運動場を発着点に、国分下井を折り返す6区間21・0975㌔で健脚が競われた。

大島は1時間19分49秒の11位で、目標に掲げたCクラス優勝、Bクラス復帰は果たせなかった。
 1区で11位と出遅れた大島は、2区以降でも挽回できなかった。

 総合はアンカー兼友(京セラ)が猛追し、トラック勝負で逆転した姶良が2年ぶり14回目の栄冠に輝いた。2位は出水、3位は肝属だった。Bクラスは肝属、Cクラスは曽於が優勝だった。

課題こそ収穫
大島、見せ場作れず

 大島は見せ場を作ることができず、11位に終わった。備秀朗監督は「流れに乗れなかった。駅伝の怖さを思い知らされた」と悔しがった。

 1区で11位スタート。10位とは33秒の差があった。2区以降で何とかこの差を縮めたかったが、追いかける相手の背中の見えない展開で、ペースを作り切れず、その差は最終的に1分開いた。4区・平安珠(鹿児島純心大)、アンカー大川菜々子(ジェイズパートナー)とも、前との差を挽回しようと前半から突っ込んだが後半失速。いずれも4㌔の長丁場で「スタミナ不足、練習不足」を思い知らされた。

 毎週末の合同練習がこのチームのベースだが、新型コロナの影響でこの2年間は思うようにチーム練習が組めていない。今年は特に年始から島内で爆発的な感染があり、メンバー選考にも頭を悩ませた。例年以上に、それぞれが所属する学校、クラブ、職場などでの各自の練習に任せるしかない状態だった。グループラインなどを活用し、連絡は密に取っていたが、補えなかった。

 今大会は「収穫がなく課題しか残らなかった。むしろ課題こそが収穫といえる」と備監督。近年は、飛び抜けた実績、実力のあるエース不在が続く。流れを作れるエースをいかにして育てていくかは大きな課題になりそうだ。アンカーの大川は高校以来5年ぶりに大島チームのメンバーで走った。実業団を引退して以降、しばらくブランクがあった中、今大会に向けての練習を再開したのが半年前から。思うように走れず「悔しい」と感じた大川は「きょうをスタートに1年間、しっかり練習して来年は大島チームを引っ張れる選手になりたい」と雪辱を誓っていた。

(政純一郎)

姉から妹へ、タスキに託した想い 要田姉妹

 2区・要田悠那(大島高)=写真右=と3区・光春(赤徳中)=写真左=は、ハレの舞台で姉妹によるタスキリレーを実現した。

 高3の悠那は今大会が初出場。昨年メンバー入りを逃した際は「仕方ない」と割り切れたが、妹が中1でレースを走った姿をテレビで見て「悔しくて、来年は絶対メンバー入りして、高校最後のレースをこの大会で飾りたい」という気持ちが芽生えた。短大進学を早々と決めて、この大会に向けて十分練習を積み、見事出場を射止めた。

 前を行く熊毛を追いかけて本番に臨んだが「コースも難しくて思うような走りができなかった」。最後に橋を渡って中継所で待つ光春の姿が目に入り「全力を出すのはここしかない!」とスイッチが入る。フォームもタイムも忘れ、ただガムシャラに走り「頑張れ!」と笑顔で光春にタスキをつなぐことができた。

 「姉から受け取ったタスキを1秒でも速く、次の区間につなぐ」と光春。昨年と同じ3区を走り、前回よりもタイムを16秒縮め10分29秒、区間7位の力走で、1分7秒あった10位とのタイム差を50秒まで縮めることができた。

 「家族や地域の人、応援してくれた人に結果で恩返しをしたい」と語っていた悠那。自己ベストのタイムを出せず、チームの目標にも届かなかったのは悔いが残ったが、タスキリレーで意地を見せ「自分の持っているものは出せた」充実感は得られた。

 姉からの「想い」をつなぐことができた光春は「来年は10分を切れるぐらいのタイムを出したい」と早くも次の目標を語る。「後輩の中学生を引っ張り、上の先輩たちからも安心してもらえるような選手になる」と更なる成長を誓っていた。

(政純一郎)

地区対抗女子駅伝出走選手ひとこと

 1区・榮まひる(鹿児島高・古仁屋中卒) 完ぺきな状態で走れなかったのは反省点だが、最後にタスキをとってから今までの全ての想いをぶつけるつもりで全力で走り、悠那に笑顔でタスキを渡せたのは良かった。

 2区・要田悠那(大島高) 朝から緊張し続けて、タイムも自己ベストに届かず、悔しい気持ちでいっぱいだが、最後に妹に「頑張れ!」と声を掛けてタスキをつなげて、自分の持っているものは出せた。

 3区・要田光春(赤徳中) 前との差を少しでも縮めようと思って、姉から笑顔で受け取ったタスキを次につなぐつもりで頑張った。昨年より16秒タイムは縮めたが、来年は10分を切れるようにもっと練習したい。

 4区・平安珠(鹿児島純心大・和泊中卒) アップもしっかり動けて、最初の1㌔も良いペースで走れたが、後半折り返してからガクッとペースが落ちた。来年は長い距離も走れるようにもっと練習したい。

 5区・上原千怜(芦花部小中教) 後半の選手たちは前が見えない苦しい位置での走りになった。それぞれ色々課題は残ったが楽しんで走ることはできた。目標のBクラス復帰に貢献する走りができなかったのが個人的には反省点になった。

 6区・大川菜々子(ジェイズパートナー・赤木名中卒) 前も後も見えない単独走になるのはスタートから分かっていた。前半突っ込めたが、後半スタミナ切れで練習不足を実感させられた。悔しい気持ちが強いので、来年は自分が大島を引っ張れる存在になりたい。