甘しゃ糖度が上昇

気象条件に恵まれ今期のサトウキビは、甘しゃ糖度が伸びている(富国製糖での搬入処理作業)

 

気象条件恵まれ 基準糖度帯以上が9割も
富国製糖

 

 奄美市笠利町の富国製糖㈱奄美事業所(有村成生社長、勢幸一事業所長)は3日、2021/22年期の製糖状況をまとめた。昨年は台風被害がなくサトウキビの品質や成長に影響する葉の状態が良好だったため、甘しゃ糖度が上昇、前期比で1・1度(平均)伸びている。基準糖度帯以上が9割も占めており、生産者手取り価格である基準価格が引き上げられている関係から、収入増につながりそう。

 今期の生産量見込みは2万4千㌧。前期実績(2万3819㌧)を上回る計画だが、生産農家の高齢化もあり毎年20人前後がキビ作をやめる事情などから収穫面積は前期比14㌶減の519㌶となった。

 昨年12月14日開始された製糖は、春植・株出管理作業に伴う3回の休業を挟み、3月16日(圧搾終了は14日)終了を予定。現在までの原料処理量は1万2869㌧で、53・6%の進ちょく率。買入価格を左右する甘しゃ糖度は平均15・46度(前期14・36度)、最高18・0度(同17・8度)、最低10・9度(同9・4度)となり、いずれも前期を上回り、平均でも1・1度上昇している。富国製糖は「これまでにない糖度の伸び。糖をため成長につながる葉が、しっかりとした状態を保っているのが大きい。また、1月の降雨が平年の40%とあまり降らず乾燥し、気温が低いのも好材料。朝晩は気温が下がり、昼間は晴天に恵まれるとさらに糖度が伸びる」と指摘する。

 基準糖度帯(13・1~14・3度)で比較すると、同糖度帯に届かない13・0度以下は全体の0・4%しかなく、糖度帯内が7・5%、糖度帯を超える14・4度以上が92・1%とほとんどを占める。前期の14・4度以上は55・2%だけに、今期の糖度の伸びは全体に及んでいる。

 生産者交付金と原料代で構成する今期のサトウキビ生産者手取り価格は昨年末に決定。基準糖度13・7度の1㌧当たり価格は2万2711円となり、前期比712円増となった。過去最高の手取り価格となった中、糖度の伸びは農家の収入増となる。基準糖度帯上限(14・3度)なら2万2968円、下限(13・1度)なら2万2455円の価格差があるため。

 平均買入価格を比較すると、今期合計は2万4653円(原料価格7858円、交付金1万6795円)で、前期を1991円上回っている。