「世之主の墓」、石積みの一部が崩落

一部が崩れた「世之主の墓」の石積み=5日、和泊町内城=(提供写真)

和泊町、史跡内の立ち入り禁止

 【沖永良部】和泊町の県指定文化財「世之主の墓」の石積みの一部が崩れた。和泊町は8日から、安全面を考慮し史跡内への立ち入りを禁止している。史跡前方と道路からの見学は可能。

 同町教育委員会によると、5日午前10時ごろ、町文化財保護審議会委員の1人が確認した。墓室入口の右上部の石積みが縦約3㍍、横約2㍍にわたり崩れた。

 原因は、樹木の根が石積みを内側から押し出す「はらみ」現象によるものと考えられる。

 崩落した部分には、以前、ハマイヌビワの木が生えており、町教委は県の指導を踏まえ2013年に石積みを保存するため樹木を伐採。根は、除去した場合に石積みが崩れる危険性があったため、残した状態で保存に努めてきた。

 町教委は、今後も崩落が起こる可能性があるとして地元集落や観光団体と協議し、史跡内への立ち入り禁止を決定した。

 町文化財担当は「県と協議しながら、修復作業について検討していきたい」とした。

 「世之主の墓」は、15世紀に沖永良部を統治した島主の墓。町では現在、知名町と協力して世之主の墓を含む島内のトゥール墓(掘り込み墓)群の2026年度国史跡指定に向けて各種調査を進めている。