22年度県予算奄美関係

アマミノクロウサギなど希少種の交通事故防止に向けた啓発取り組み(資料写真)

交流人口拡大、共生地域推進
世界自然遺産登録契機に取り組み
奄振法期限切れ前に各種調査

 県の2022年度当初予算案では、昨年7月実現の奄美の世界自然遺産登録を契機とした取り組みに関する事業を盛り込んでいる。屋久島・奄美と二つの世界自然遺産を有する全国唯一の県として、その強みや多様な伝統・文化などの魅力を生かした交流人口の拡大や、人と自然が共生する地域づくりを推進する。

 世界自然遺産の保全と持続的な観光の推進へ新規に奄美世界自然遺産保全・活用推進事業(5311万4千円)、「奄美・沖縄」世界自然遺産登録観光推進事業(400万円)を計上。保全・活用は、適切な保全・管理の継続的な実施に向けて、自然環境の保全と利用の両立など必要な取り組みを推進するもの。

 具体的には、▽遺産地域における利用ルールの運用▽世界自然遺産にかかわる普及啓発(登録1周年記念シンポジウム)▽貴重な生態系の保全(希少種ロードキル対策等)―などを掲げている。「奄美・沖縄」は、地域の持つ多彩な魅力を生かし、沖縄県と連携したプロモーションや周遊促進を図る。また、3月補正予算には二つの世界自然遺産(屋久島・奄美)周遊促進事業(500万円)を計上。各島の自然遺産の魅力と併せて、歴史や文化を体験できる周遊旅行商品の造成を促進することで、継続的な誘客を促進する。

 観光と連動した世界自然遺産関係では、新規に奄美群島誘客・周遊促進事業(9674万3千円)もある。新型コロナウイルス感染症の影響により激減した群島への入込客の回復を図るとともに、世界自然遺産登録の効果を群島全体へ波及させるため、交通事業者と連携したプロモーションを行う。

 島々の魅力を生かした奄美・離島の振興へ新規に、ほこらしゃ奄美音楽祭開催事業(1200万円)と危機的な状況にある言語・方言サミット開催事業(36万8千円)を計上。音楽祭はシマ唄の魅力発信、言語・方言サミットは知名町で開催するもの。

 このほかの奄美関係新規事業で主なものは次の通り。

 各種調査(奄美群島振興開発総合調査)2070万2千円=現行の奄美群島振興開発特別措置法が23年度末(24年3月末)で期限切れを迎えることから、群島の社会・経済の現状、課題および奄振事業等の成果などを総合的に調査し、群島の自立的発展を可能とする基礎条件の分析を行うとともに、今後の振興開発の方向性および方策を明らかにする▽移住・交流・関係人口拡大推進事業(7107万7千円)=「地方回帰」の機運が高まる中、更なる移住・交流の促進を図るため、情報発信・相談対応・市町村支援の強化に取り組むとともに、地域おこし協力隊の支援に加え、関係人口の創出・拡大を図るための機会の提供などに取り組む。