県と町に公開質問状

県に送付した公開質問状について説明する守る会のメンバーら(10日、県大島支庁記者クラブ)

海岸を守る会 護岸整備見直し求め
瀬戸内町嘉徳海岸

 県が瀬戸内町嘉徳海岸の浸食対策事業として進める護岸建設工事に反対する市民団体「奄美の森と川と海岸を守る会」(ジョンマーク高木代表)は10日、同事業に関する公開質問状を県と瀬戸内町及び、県議会、同町議会に送った。質問状では、事業が「住民の合意形成がないまま進行、(護岸工事が)世界自然遺産条約に反する可能性が高い」などとし、「工事の見直しを求める住民の要望が一切聞き入られないのはなぜか」などと、県のこれまでの対応を疑問視、県議会と町議会に対しても、同事業に関する議論の有無などについて質問。24日までに文書による回答を求めている。

 同日、高木代表ら同会のメンバー5人が、大島支庁記者クラブで記者会見し、公開質問状の内容などについて明らかにした。

 守る会によると、2019年9月以降、護岸工事の見直しなどを求める要望書や申し入れを県や同町に計5回に渡って行ったものの、「回答は全くなく、無視された状態が続いている」という。

 また、世界自然遺産登録に向けた評価を受ける過程で、国際自然保護連合(IUCN)に提供された世界自然遺産の緩衝地帯でもある同海岸の情報について、「誤りや説明不足がある」とし、県の対応を批判している。

 嘉徳海岸は2014年の台風で砂浜が大きく浸食。畑や小屋が流失し、約1700平方㍍の民有地が消失したとして、住民らが県に護岸対策を要望。県は専門家を含む検討委員会などの議論を経て、整備計画を決定。現在、コンクリートブロックの製造など一部関連工事に着手しているものの、同海岸での工事は行われていない。

 護岸工事は、延長90×高さ6㍍のコンクリートブロックを同海岸を掘削した上で設置。ブロックは砂で覆い、完成後はアダンなどの植樹も予定している。