徳之島「天城岳松原登山道」開通

安全性を高め整備・開通した登山道を伝い、身近な「世界の宝」の魅了を再認識したウォーク参加者たち=12日、徳之島・天城町「天城岳松原登山道」

 

テープカットで整備・開通を祝った関係機関・団体代表ら

 

身近な「世界の宝」再認識
安全アクセス性が向上

 

 【徳之島】環境省と天城町が連携整備した「天城岳松原登山道」(同町松原側)の開通式と登山道ウォークイベントが12日あった。徳之島第2の高峰「天城岳」(543㍍)は、「奄美大島・徳之島・沖縄島北部および西表島」世界自然遺産のコア(核心)地域と、奄美群島国立公園特別保護地区とが重なった最重要エリア。安全性も向上した「身近な世界の宝」の魅力を再確認しあった。

 「天城岳松原登山道」は、世界自然遺産の価値の象徴である亜熱帯の森の魅力を体験できる歩道(環境省)。奄美群島国立公園徳之島地域松原線道路新設工事・歩道整備(木製階段や土留擁壁、看板整備など)として2020年度からの2年継続で延長約730㍍を整備。同省に連動して天城町は、同登山道周辺整備事業(奄美群島成長戦略推進交付金事業)で登山口にまず駐車場やトイレを設置した。

 現地であった開通式には関係機関・団体や住民代表など約50人が参加した。環境省・奄美群島国立公園事務所の阿部慎太郎所長はあいさつで、世界自然遺産登録の経緯も交え、「空港からのアクセスも良く、集落にも近い所に世界の宝とは、他の世界遺産地域では類を見ないと思う。世界の宝ではあるが、島に住む人たちの〝身近な森の入口〟に」ともアピール。

 森田弘光町長も「空港から車で15分以内の場所に、世界自然遺産のコア地域があるのは天城岳だけだと思う。新型コロナ終息時は世界中からこの自然を求めていらっしゃると期待。島に住むわれわれも世界自然遺産、この自然の素晴らしさを肌で体感。この島に生まれて良かったと思える世界自然遺産に」などと呼び掛けた。

 登山道の整備概要の説明(同省徳之島事務所・福井俊介管理官)によると、整備区間は「3つの滝」を通ってオキナワウラジロガシ群生林まで全長約730㍍。①安全に歩きやすい環境の確保②安全に整備しつつ、ありのままの自然を楽しませるため人工物設置を抑制し、沢などは現地の石を使って整備したと強調。

 同ルートの特徴として「3つの趣の違う滝」、①「カームィの滝」(滝つぼが甕(かめ)の形をして見る角度で趣が違う)②「マチャラの滝」(高さ約15㍍、無名だったが公募し地元・松原の地名を採用)③「マムイの滝」(厳かな雰囲気、名称募集「守る」の意)も存在。

 さらに、「世界自然遺産の森の価値が感じられる場所。アマミノクロウサギの糞など気配も感じさせてくれる。生物多様性を支えてきた森の象徴、オキナワウラジロガシ(新緑の代表)が群生する広場がある。せせらぎも含め徳之島ならではの景観を残している場所」とも強調した。

 関係機関代表らのテープカットに続き、徳之島エコツアーガイド連絡協議会メンバーなどの案内で3班(3コース)に分かれて登山道を散策。参加者たちは安全性が高まった木製階段などを伝い、身近な「世界の宝」の価値を再確認し合った。