大島、逆転負け 初戦で散る

【1回戦・大島―小林西】1回裏大島一死二三塁、4番・中が先制の左前2点適時打を放つ=アイビー

九州高校野球第2日

 第150回九州地区高校野球大会第2日は25日、宮崎市のサンマリン、アイビー、両スタジアムで1回戦7試合があった。

 前回準優勝の大島が小林西(宮崎2位)と対戦。先制し優位に試合を進めていたが、七回に集中打を浴びて逆転され3―8で敗れ、初戦で姿を消した。

 第3日は26日、両球場で準々決勝4試合がある。

 ◇1回戦(アイビー)
小林西
000001601 8
200010000 3
大 島
(小)仲間晴、島袋、藤―俣山、上原口
(大)大野、直江―田邊
▽本塁打 藤(小)
▽二塁打 木庭、岩根(小)

 【評】大島は一回裏、一死二三塁と絶好の先制機を作り、4番・中の左前適時打で2点を先取した。二、四回と先頭打者を出しながら追加点が奪えなかったが、五回に相手のエラーで3点目を挙げた。エース大野は立ち上がりから快調に飛ばし、五回まで無失点だった。六回にソロ本塁打を浴びてから流れが変わり、七回表は一死から振り逃げ、連続四球で満塁となり、集中打を浴びて一挙6点を失った。2番手・直江が後続を断ち失点を食い止めたが、打線が六回以降無安打に抑えられ、無念の逆転負けを喫した。

 

満たされたゆえの心のスキ 大島

【1回戦・大島―小林西】1回裏大島一死二三塁、中の左前適時打で三走に続いて二走・田邊が生還=アイビー

 六回にソロを浴びた裏の攻撃を見て、大島・塗木哲哉監督は「嫌な予感がした」という。飛球を3つ打ち上げて簡単に攻撃が終わった。「心のどこかにスキを作っていないか?」。予感が七回に的中し、集中打を浴びて無念の逆転負けを喫した。

 先制し、エース大野を中心に守る。五回までは完全な大島ペースだった。直球は最速144㌔を出し、快調に飛ばしていたかに思われた大野稼頭央だったが七回は「自分の悪いところが全て出た」と悔やむ。一死から暴投、連続四球で自らピンチを招き、気持ちを切り替えられないままむきになって投げたボールを痛打された。その失点を挽回する打線の粘りも出せなかった。

 武田涼雅主将は「最悪、こんな展開で負けることがあるかも」と感じていたという。鹿児島を制し、九州で準優勝した昨秋のように、どん欲に勝利を目指していた頃の我慢、注意力、気づく力…いろんなものが今、チームに感じられない。

 周囲から注目され、応援されて甲子園まで行き、物心共に「満たされてしまった」(塗木監督)ゆえの心のスキだ。「この中に、本気で夏また甲子園に行きたいと思っている選手が何人いるのか?」。武田主将は日頃の練習や生活態度を見ていて感じていた不安が的中したのがこの試合だった。

 今は「湿ってしまったマッチで一生懸命火をつけようとしている」状態だと塗木監督は言う。センバツに出て「満たされてしまったもの」をカラカラに乾かし、ひたむきに、どん欲に、夏の甲子園を目指す気持ちを作れるか。このチームの真価を問われる日々が始まる。

(政純一郎)

 

好リリーフで自信つける 大島・直江朝日投手

 七回表、大黒柱の大野が打ち込まれてまさかの6失点。「稼頭央がここまで打ち込まれる試合は見たことがない」。そんな場面で自分がマウンドに上がることは想像できなかった。

 だが、ここで踏ん張らなければ一気にワンサイドで終わってしまう。「精一杯の投球をやるだけ」。なおも一死一二塁とピンチは続いていたが三振と三邪飛で切り抜けた。九回まで2回3分の2イニングを投げて1失点の好リリーフで、崩れそうな試合を何とか踏みとどまらせた。

 伊仙中時代は投手経験があり、1年秋は投手としてベンチに入ったこともあったが、同学年で同じ左腕の大野が別格で「外野の守備と打撃」でチームに貢献する道を選んだ。

 しばらく登板する機会はなかったが、センバツ開幕前、関西での練習試合で久々に登板して「投手としてチームに貢献できる」機会があるかもしれないと思った。

 センバツでは9番、右翼手でスタメン出場したが結果を残せなかった。今大会はセンバツでつけた背番号9は後輩の田邊に譲ることになった。「後輩にとられて悔しい」気持ちもマウンドにぶつけるモチベーションに変えた。

 持ち球は直球とカーブ。「稼頭央のような球威はないけれど、制球とコーナーワークをしっかりすれば自分でも抑えられる」自信になった。

 チームは無念の逆転負けを喫し、夏に向けての正念場、踏ん張りどころを迎えていると感じる。「甲子園に出て浮かれた気持ちを切り替えて、本気で夏を目指す」覚悟を固めていた。

(政純一郎)