製造業一転、畜産農業の道へ

畜産農業での経営を目指し喜界町でIターン就農した片桐さん

喜界町上嘉鉄 Iターン就農で日々奮闘
片桐さん「自然や生命にやりがい」

 喜界町上嘉鉄の片桐真吾さん(60)が、Iターン就農して4カ月を迎える。同永原地区で牛の生産を手伝い、ブロッコリーやカボチャ畑で修業中。長年経営してきた海外製造業から一転、憧れの畜産農業の道に進んだ。将来的には、肉用牛生産で生計を立てることを目標にしており「まずは牛をしっかりコントロールできるよう勉強したい」と日々奮闘している。

 片桐さんは京都市出身。1989年から雑貨製造の会社を京都で経営。2002年には拠点を中国に移し、輸出などを通じて年商4億円を超える企業に成長させてきた。

 発端は、2020年に訪れた妻・嘉子さん(56)の出身地である同島の旅行。嘉子さんの友人の兄である同町議会議長でJAあまみ喜界地区園芸振興会ブロッコリー部会長を務める榮哲治さんと出会い、夢だった畜産や農業について相談したところ就農を後押し。コロナ禍で貿易業の業績が振るわなかったこともあり、思い切って飛び込むことを決意した。

 まずは昨年12月に片桐さんが単身移住。榮さん指導の下で、修業を本格化した。畑はブロッコリー6㌃、カボチャ3㌃、牛舎では牛18頭の飼養を手伝う。現在はブロッコリーの収穫期にもあたり「体力的には大変だが、触るものすべてが自然や生命にあふれていて、やりがいを感じている」と話す。

 先日は5人息子の三男も肉用牛生産を「生業にしたい」と島を訪ねてきた。5月からは1・5㌃の畑を借り入れ、自らゴマの栽培も手掛けていくという。

 「(定年後など)最後は憧れの自然の中で働きたいと、ずっと思いを持ち続けてきた」と片桐さん。「まだ何もできないが、これまでに培ったネットワークを生かせば販路拡大といった面でも地域に貢献できる。実現目指して一つひとつ頑張っていきたい」と意気込んでいる。