町教委「瀬戸内町内の遺跡3」刊行

「日本の近代史を知る内容」
要塞、基地跡など6カ所を調査報告

 瀬戸内町教育委員会社会教育課はこのほど、国庫、県補助などを活用し、調査をまとめた報告書「瀬戸内町内の遺跡3 奄美大島要塞跡及び大島防備隊基地跡内容確認調査編」を刊行した=写真=。明治末期から終戦間際まで、多くの陸海軍の施設が遺された同町で、関連遺跡の調査を5年間実施。同教委は「報告書にまとめた各遺跡群を知ることで、日本の近代史が理解出来る内容」としている。

 同報告書は、前回2017年に刊行された「瀬戸内町内の遺跡2―近代遺跡分 調査編―」で確認された軍事関連施設全206カ所から、6カ所を重要施設と設定し17~21年まで調査。大学教授、有識者なども参加し、発掘調査だけでなく文献、聞き取り調査も行われた。

 同町には、日清戦争の戦利品を利用した水溜め、日露戦争に向けた施設など数多くの戦争遺跡があるなか、1921~22年のワシントン海軍軍縮会議で合意した、太平洋上の軍事施設の要塞化禁止で建造が中止された「奄美大島要塞司令部」が存在した(23年開庁)。極東アジアにおける軍事拠点の役割を担った当時の奄美大島、同町の歴史のみならず、日本の近代史を知る貴重な報告書となっている。

 同課の鼎=かなえ=丈太郎さんは、「島では意外と、軍事基地があったことが知られていない」とし「ぜひ、群島民の多くの方々に、ご覧になっていただければ」と話した。

 関連機関、学術団体に納本され、同町立図書館(郷土館)・奄美図書館などで、貸出、閲覧可。また、同課他、同町埋蔵文化財センターで定価3000円(税込)で販売予定となっている。

 問い合わせは、同センター電話0997―76―3004まで。