今後の奄振の在り方について活発な意見交換がなされた。
「ハード」から「ソフト」へ
自立的発展、格差是正へ活発な議論展開
【鹿児島】今年度の奄美群島振興開発総合調査に伴う鹿児島奄美会と県との意見交換会が15日、県庁であった。
奄美群島振興開発特別措置法(奄振)が2023年度末で期限切れを迎えるため、今後の振興開発の方向性や方策を明らかにすべく、県はこれまでの奄振の成果や今後の課題などを総合的に調査している。その一環として県本土在住の奄美出身者との意見交換を行った。
鹿児島奄美会の池山泰正顧問は「これまでの奄振でハードは十分に整備された。今後はソフトへの支援が必要」と主張。「未だ奄美の自立的発展、本土との格差是正にはつながっていない」と厳しく指摘した。人口減少や超高齢化が進むことへの危機感を抱き、若者が定住しやすくするための企業誘致を進めていくことなどを提案していた。
「喜界島の人口は5年前から約600人減っている。単純計算で月10人減っている。胸が痛い」と指摘したのは喜界会の益田親雄副会長。解決策として「農業の企業化」を提案した。喜界島は全国有数の白ゴマの産地だが、自然災害の影響を受けやすく個人で取り組むことに躊躇=ちゅうちょ=している現状がある。「役場、県、国が一体となったセクター方式で起業できないか」と主張した。
このほか「世界自然遺産から外れた沖永良部、与論への観光施策」「航空運賃の値下げ」「交流人口促進のための大学の誘致」などの意見が出された。県の西正智地域政策総括監は「ITCの活用で拠点を持たなくても働くことができる時代。そういったものの活用が奄美の人口流出に歯止めをかけられるのではないか」と述べていた。