昆虫トラップ(円内は資料写真)やロードキル対策を重点協議した徳之島地区協議会=21日、天城町役場
【徳之島】奄美群島希少野生生物保護対策協議会(会長・宮澤泰子県自然保護課長)の徳之島地区協議が21日、天城町役場であった。関係機関で保護対策の状況を共有し、昆虫類などトラップ(わな)設置・大量設置問題、アマミノクロウサギなどのロードキル(交通事故死)対策を協議。昆虫トラップ対策では、伊仙町が町管理地域への「事前届出制」を実施(7日付)。専門家は高く評価した。
昨年7月の世界自然遺産登録後初の保護対策協。主催の県当局や環境省、林野庁、同島3町行政、九州大学共創学部の荒谷邦雄教授らオブザーバー含め関係者約25人が出席。宮澤会長はIUCN(国際自然保護連合)指摘のロードキル問題も含め、今後の希少野生生物の保護対策へ忌たんのない意見を求めた。
マニュアル化した「徳之島希少野生動植物の保護体制」(同保護協連絡網)に関し、地元の県希少野生動植物保護推進員(オブザーバー)は通常例を基に、深夜や土・日も「法令所管機関」(町など関係行政)と迅速に情報共有・連携対処のできる体制づくりも要望した。
昆虫トラップ設置・大量採取に対する対応では、今年度も引き続きチラシ配布やホームページで昆虫採集のマナーやモラル向上を図ることなども提案(県)。一方、伊仙町からは今年6月30日以降、農道や町道などで昆虫トラップが確認されたことによる「昆虫採集のためのトラップ(野生生物が誘引される恐れのある工作物)の設置」に関する取り組みの報告も。
町管理地域へのトラップ設置の「事前届け出制」は、①大量捕獲による生態系への影響②トラップから落下した昆虫のロードキル③風致景観を損なう④野生生物の大量捕獲で住民感情が損なわれる―などを懸念した対策。荒谷教授は「届け出制は非常に素晴らしい。申請の結果(捕獲種など)報告は科学的データの基にもなる」。地元の県希少野生動植物保護推進員も3町が歩調をそろえた取り組みも求めた。
クロウサギのロードキル対策では、徳之島町と天城町が一部の多発地点に試行設置した防護ネットの「有効性」も報告。県側は奄美大島本島における「本格的な防護フェンス、モニターカメラ」の設置方針(自然保護課事業)も示した。
22日は奄美大島地区協議会(奄美会館)も開かれる。規約改正などは同会を経て正式承認となる。