奄美市出身津江さん 銀座で個展開催中

ニューヨークでの個展で中心になった作品「春の賛歌」と津江さん

心象風景など中心に展示

 【東京】奄美の自然の香りと音を感じ取って――。奄美市名瀬出身の画家・津江三千子さん(73)が、中央区銀座の「銀座幸伸ギャラリー」(中央区銀座7―7―1)で個展を開催中だ。心象風景などを中心に日本画が展示され、訪れる人を魅了している。

 同ギャラリーでの個展は、4年ぶり5回目。2019年に米ニューヨークで行った個展出品作を中心に、20点が展示されている。入口すぐの「春の賛歌」(縦72・7㌢横273㌢)は金の雲、咲き誇る桜、銀の波濤、極楽鳥が陽春の喜びにあふれ、訪れる人を包み込むよう。

 展示テーマは「ささやくものたち2022」。「波濤瀑布サガリバナ」「朝ぼらけ」など縦161㌢横260㌢のカンバスに、一夜で散るサガリバナが、金銀ほか多くの色彩で描かれている。「人の一生をイメージした」(津江さん)という生命のはかなさの一方で力強くもあり、魅惑的な香りが漂い、静寂な夜に散る音も聞こえてきそうだ。

 津江さんは古本屋で偶然手にした『平家物語』をきっかけに金箔、銀箔による装飾美に引かれ、53歳にして武蔵野美術学園に入学。画家への扉を開いた。04年に第72回独立展入選、12年にはフランスの美術展覧会で入選を果たすなど、国内外での評価も高い。コロナ禍によって個展はひと休みしたが、奄美を原風景にした創作意欲はとどまることはなかった。津江さんは「作品を通じて、奄美をさらに知ってもらえる機会になれば」と意欲を語った。

 ほか魅力的な作品がそろった個展は、28日(日曜)が最終日。時間は午前11時から午後6時まで(最終日は午後5時まで)。