「個別避難計画」策定へ聞き取り調査

宇検村で「個別避難計画」策定に向け、聞き取り調査とともに避難方法などの説明が行われている

防災意識の「気づき」へ 宇検村

 津波や台風などの災害時、自力で避難が困難な高齢者や障がい者など「要支援者」のために作成される「個別避難計画」。宇検村では15日から、その策定にあたり個別訪問による、聞き取り調査が行われている。同村の防災アドバイザーを務める鹿児島大学総合教育機構共通教育センターの岩船昌起教授(54)他、村保健福祉課職員らが実施。16日の調査では、村防災計画で新たに盛り込まれる予定の「危険潮位」を踏まえた避難方法の説明も合わせて行われた。

 同村では、2021年度から県の防災アドバイザー制度を利用。全国の各市町村で努力義務が必要とされる「個別避難計画」の策定を進める中、今年2、3月、岩船教授が各集落で測量調査を実施。5月の村防災会議では、調査を踏まえ高潮の危険潮位を「1・8㍍」とする修正案を承認。村防災計画にある現行の高潮警報2・4㍍、注意報1・5㍍が、年内に引き下げられる予定。今後同村では、集落ごとで異なる浸水・水害を踏まえた個別避難計画が必要となる。

 16日の聞き取り調査では、今年1月の津波警報時の避難行動を踏まえ、▽災害時に必要な支援(第三者の支援の有無など)▽日常に必要な生活用品・薬品▽避難先でパーテーションが必要か―など確認。あわせて、村の高潮の危険潮位が変更されたこと、床上浸水の危険性、避難場所の確認など、災害発生時を踏まえた具体的な避難行動が説明された。

 岩船教授は、「聞き取り調査は時間がかかるが、個別支援計画の策定だけでなく、本人に直接説明することが、防災に対する『気づき』につながる。そして、周囲の支援者との更なる連携が期待できる」と話した。

 今回の聞き取り調査は、約10世帯を予定している。