阿室川で生き物調査

児童・教諭たちがタモ綱など手に調査を行った(8日、阿室川)

調査後、捕まえた生き物たちの様子を観察した(同、阿室小中学校)

「自然を守り育てる心を」宇検村阿室小中

宇検村の阿室小中学校(中村正治校長、児童生徒20人)で8日、学校前の阿室川に生息する生き物を調査する「奄美の自然を調べよう~阿室川で幻のリュウキュウアユを探せ!」があった。昨年に続く第2弾で、引き続き講師として、鹿児島大学農学部農協環境学科・平瑞樹助教(59)他、奄美マングースバスターズ(自然環境研究センター)の後藤義仁さん(47)が参加。教職員らとともに児童たちは、自然豊かな奄美の環境を生かした、生き物調査を実践した。

同校は、昨年度から県の環境教育研究指定校として「持続可能な社会づくりに向けて、自分の考えを行動し、表現・発信する児童生徒の育成」を研究テーマに取り組んでおり、同調査はその一環。リュウキュウアユの生息を考えることを通し、生態系・生物多様性保全を学ぶことが目的。

調査に当たり平助教は、自身が受け持つ公民館講座や環境活動クラブの活動内容を紹介。児童たちが同市・田上川で調査した「ハッチョウトンボ」などの生き物たちや、「お米作りから学ぶSDGs」などを報告。同校でも取り組まれている生き物調査・稲作活動を通し、SDGsに向けた「指標」を考える大切さを伝えた。

阿室川の調査は、児童・生徒たちが、中流域、下流域に別れ実施。リュウキュウアユはいなかったものの、ヨウジウオやフエフキダイの幼魚、エビ(テナガエビ、オニヌマエビなどヌマエビ)、カニを確認。他にも、各流域の草の量の違い、上流でチョウが多い理由など、多種多様な生き物たちと触れ合い、自然を学んだ。

振り返りの時間では、児童たちから「(生物たちに触れ)うれしかった」「たくさんの生き物を知った」など意見が出された。中3・後藤愛彩さん(14)は「これからも継続して調査を行ったら、もっと阿室川について詳しくなれると思う」と話した。

平助教は「大事なことは毎年観察し、季節によって異なる生き物たちに興味をもつこと。子どもの頃から、世界自然遺産となった奄美の自然を守り育てる心を持ち、その大切さを大人たちにも伝えてくれれば」と語った。