徳之島産牛含む6区で首席

徳之島町の武元さんが生産し、江籠畜産が肥育した「亀吉」。鹿児島県代表の1頭として全共の6区に出品され、トップの1席に輝いた(提供写真)

全共最終審査 生産者の武元さん「素牛産地として弾みに」

霧島市など県内2会場で開かれている和牛の品評会「第12回全国和牛能力共進会(全共)」は9日、メイン会場で種牛の部(2~6区)、JA食肉かごしま南薩工場で肉牛の部の順位を決める最終審査があった。徳之島産の牛も出場した6区(同じ種雄牛の子である種牛4頭と肉牛3頭の計7頭が1組として出品)では鹿児島県代表がトップの1席となった。

種牛と肉牛双方を評価

和牛の改良の成果を競う全共は5年に1度持ち回りで開催されることから「和牛のオリンピック」と称される。6日開幕し10日までの鹿児島県での開催は52年ぶり。県勢は24頭が出品された。

6区肉牛群の部の県代表牛に選ばれたのが徳之島町で生まれた「亀吉」。生産者は同町の武元光代さん(名義人)で、子牛まで育てた後、購入し肥育して出品したのが南さつま市加世田の㈲江籠=えご=畜産。種雄牛の品種改良の成果を競った6区には、種牛「すみれひめ」「いつみ92」「ひでこ」「かりなきよ」の4頭、肉牛は徳之島産の「亀吉」のほか「誠司37」「速子1154」3頭の計7頭が一つのチームとして出品された。

6区は種牛と肉牛の双方を評価(総合評価群)することから難易度が高く、大会の「花形」とされている。1~8区と特別区のうち審査結果は6区が最後に発表され、1席に鹿児島県が輝き、2位は宮崎県、3位島根県だった。鹿児島県はこれで特別区を含む九つの区のうち、六つの区でトップの1席を獲得した。

6区で出品された「亀吉」は、2年前に徳之島市場で行われた子牛セリに出品され、購買者として来島した江籠畜産が落札し購入した。生産した武元さんは現在、3年前に横浜からUターンした光代さんの次男・晴輝さん(50)が畜産業を引き継ぎ、親牛17頭・子牛9頭を育てている。全共でのトップの知らせに晴輝さんは「予選を勝ち抜き県代表に選ばれたことにも驚いたが、『亀吉』を含む7頭1組での出品となった6区で全国トップとなり、とてもうれしい。餌をたくさん食べ順調に育った子牛だったが、購入後、ここまで育てていただいた江籠さんに感謝したい」と喜びを語ると同時に、「現在子牛相場は大きく値下がりし、厳しい状況にあるが、素牛=もとうし=産地の大島地区では『こういう子牛がつくれるんだ』と全国にアピールできたのではないか。大島地区ではいい子牛が育つ。たくさんの購買者が来てほしい。全共の結果が弾みになり大島地区の盛り上がりを期待したい」と語った。

なお、全共最終日の10日は、種牛の部と肉牛の部で最も優れた牛に贈られる「内閣総理大臣賞」が決定する。