「奄美の民俗学」次世代へ

山下欣一氏の功績を振り返りながら考察する市民フォーラムを告知する久留ひろみ理事長(右)ら

山下欣一氏一周忌 多角的考察へ市民フォーラム
23日市民交流センター

 旧名瀬市生まれで、奄美のユタ研究の第一人者として知られ、昨年死去した山下欣一氏=鹿児島国際大学名誉教授、民俗学者、文学博士=の功績を振り返りながら多角的に考察する市民フォーラム「奄美学 その地平と彼方~山下欣一先生を偲ぶ会~」が23日、奄美市市民交流センターマチナカホールである。山下氏が研究してきた「奄美の民俗学」を次世代へつなぐ契機とする。

 NPO法人奄美食育食文化プロジェクト(久留ひろみ理事長)の主催。午後1時(開場午後0時半)からで入場無料。定員175人(新型コロナウイルス感染対策のため会場座席数の半数)。

 フォーラム第1部では、大学生の時に山下氏の著書『奄美説話の研究』に出合い、南島研究を志したという関西学院大学大学院社会学研究科教授の島村恭則氏=現代民俗学=が記念講演。演題は「奄美から世界へ、そして奄美へ~山下欣一のグローカリズムに学ぶ~」。

 第2部は「シマは奄美の人々の原点」をテーマにしたパネルディスカッション。島村教授のほか、町健次郎氏=瀬戸内町立図書館・郷土館学芸員・博士(学術)=、窪田圭喜氏=秋名アラセツ行事保存会会長=、中村修氏=NPO法人TAMASU理事長=、山岡英世氏=元奄美民俗談話会事務長=がパネラーを務める。奄美博物館館長の久伸博氏がビデオメッセージを寄せる。コーディネーターは山下氏が創設した民俗談話会活動などを通し指導を受けた久留理事長。

 久留理事長は「『神と人と自然の交流の学問』とされる民俗学だが、山下先生は特に奄美のユタをシャーマニズムとして世界の舞台に引き上げた。『シマの歴史や文化など過去の記録は未来の設計図となる』という言葉も伝えており、山下民俗学を通しシマの文化を次世代へつなぐきっかけにしたい。高校生など若い世代もぜひ参加し聴講してほしい」と語った。山下氏は、南島の民俗・文化の研究をさらに進めて、奄美を探求する「奄美学」を提唱してきた。

 市民フォーラム問い合わせは事務局・松尾さん電話080・3061・6973まで。