全国旅行支援開始2週間

観光客増に歓迎の声
急激な増加で、人手不足懸念も

 国の観光促進策「全国旅行支援」が開始されて2週間が経過した。県が独自に行っている離島旅行支援と合わせた効果もあり、奄美大島でも観光客が増加しており、宿泊施設などからは、「新型コロナ以前と変わらない問い合わせや予約が入っている」と観光客の増加につながっていることを歓迎。一方で、「一気に観光客が増えたため、対応しきれていない部分もある」と、急激な観光需要の増大による人手不足も懸念されている。

 全国旅行支援は、「県民割」と呼ばれた旅行支援制度の対象を全国に広げたもので、旅行の目的地となる都道府県ごとに実施している。12月20日までの旅行商品が対象で、期間前に予約した旅行についても、手続きなどを行えば対象となる。

 割引率は旅行代金の最大40%。旅行会社が扱うパック旅行は1人1泊あたり8千円、それ以外は5千円を上限に割り引く。奄美群島などの県内離島ではさらに、県独自の離島支援を受けることができるため、それぞれ上限が1万1千円、7000円に増額される。

 奄美市名瀬のホテルビッグマリン奄美の向井純一社長は「レンタカーも含め、多くの問い合わせが寄せられている。全国旅行支援開始以前は、県民割を利用する県内からの利用が多かったが、今は、関西や関東圏からの予約の方が多い」と話す。

 同ホテルでは、全国旅行支援開始以降、予約率が80%程度で推移しており、向井社長は「10月に8割の部屋が埋まるのは、ここ数年なかった。11月以降も順調に予約が入っている」と話した。

 一方で、旅行支援を受けるための手続きなど、煩雑な事務作業が増えたことで、現場の人手不足が課題となっている。

 同市笠利町の奄美リゾートホテル&コテージばしゃ山村では、全国旅行支援開始以降、問い合わせが一日30件ほどに増えたほか、団体客などの予約も増えているという。

 フロント係の西田圭祐さんは「団体客だと1日で100人以上が利用する場合もあるため、前日から準備しないと対応できなくなってしまう。人手が足りない状況だが、業務の効率化を図りながらなんとか対応している」と話すなど、一気に観光客が増えたことで、人手が足りない状況となっている。

 それでも、観光客が増加していることを関係者らも総じて歓迎しており、西田さんは「忙しいが、観光客が戻ってきたことで、観光業界全体的が明るい雰囲気になった。態勢を整えながら、しっかりと対応したい」と話し、向井社長も「リピーター客も増えてきた。この調子でコロナ以前のような状況に戻ってくれたら」と全国旅行支援によるさらなる観光需要の喚起を期待した。