枠超え、樹園地継承へ協議

新規就農者へのスムーズな遊休地マッチングについて協議した樹園地の継承システム化検討会

情報共有へPF設置を 奄美大島5市町村
農業士会や県大島支庁

大島地区指導農業士会と県大島支庁農林水産部農政普及課は25日、新規就農者らへスムーズなかんきつ類樹園地のマッチングを目指す「樹園地の継承システム化検討会」を奄美市役所大会議室で開いた。奄美大島の生産者や市町村関係者ら41人が参加し、5市町村の枠を超えた継承のあり方を協議。参加者からは新規就農者へマッチングしていくための共通基盤として、情報を共有のためのプラットフォーム(PF)設置を求める声などが相次いだ。

生産者らの後継者不足に伴い奄美大島地区でも樹園地の遊休化が散見するなか、かんきつ栽培を希望する新規就農者や規模拡大志向農家らへのスムーズな情報提供に向け、市町村の枠を超えて一元化を試みるもの。円滑なマッチングを行うことで遊休地を増やすことなく、農業生産量の維持を図りたいとの狙いもある。

県大島支庁によると、大和村福元団地の意識調査では、かんきつ栽培を手掛ける生産者の9割以上が60歳超で、このうち7割が後継者は不在だと回答している。同普及課の川越尚樹課長はあいさつで「奄美大島は果樹の島。経済を支える作物が幽霊化している。5年、10年先を見据え、守るためにはどうするのか関係者が横串を差してほしい」呼び掛けた。

協議では、相談があればすぐに詳細が提供できるよう、情報が共有できるPFの設置を求める声が相次いだ。「どこかで情報がまとまっていないと、すぐには動けない」「(情報のまとめ役として)県地域振興公社も考えられるが、奄美は奄美で一元化できないと具体的なマッチングにつながらない」「青年クラブも含めみんなで共有できるものが必要」などと参加者らが議論。課題面では「民間だけでやり取りするとなれば、売り手、買い手の顔の見える個人情報が必要になる。誰がどう扱うのか」「個人対個人ではトラブルも起こる。役場もしっかり立ち会うべきだ」といった意見も出た。

今後はこの日の協議を踏まえ、大島支庁がプラットフォーム設置などついて検討。情報の流通方法などを考えていく。