脱炭素の離島モデル考察

総合討論で脱炭素の取り組みと島の未来について意見を交わしたパネラーたち=和泊町=

暮らし・デザイン・フォーラム
パネルディスカッションや総合討論

【沖永良部】第3回島暮らし・デザイン・フォーラム(酔庵塾主催)が13日、和泊町役場結いホールであった。「心豊かなゼロ・カーボン・アイランド―若者たちが考える未来の沖永良部島―」をテーマにパネルディスカッションや総合討論を行い、脱炭素の取り組みから見える未来の島のかたちを考えた。

酔庵塾では、2009年から19年まで、島の未来について考える「沖永良部シンポジウム」を全10回開催。20年からは具体的に島暮らしをデザインするためフォーラム形式へ移行した。今回、オンライン視聴を含め約70人が参加した。

基調講演した酔庵塾の石田秀輝塾長は、環境や経済、社会への負荷を縮減するために「人的資本や自然資本が循環再生し、お金が主役ではない暮らし方のかたち『サスティナブル資本論』という概念をこの島で作り上げたい」と話した。

招待講演した前環境事務次官で日本製鉄顧問の中井徳太郎さんは▽脱炭素▽循環経済▽分散型・自然共生社会―の三つの取り組みからなる「地域循環共生圏」について説明した。

このほか、環境省の脱炭素先行地域に選ばれた和泊、知名両町の取り組みに関する現状報告や、未来の島の姿について「エコラブ」(未来の島を考える若者の会)のメンバーが発表した。

パネルディスカッションでは、沖永良部高校3年の池山姫李さんが、8月から高校生を対象に行っているEV(電動)バイク導入事業(和泊、知名両町主体)で1カ月間試乗した結果、二酸化炭素の排出量がこれまで使っていた原付バイクと比較して4分の1削減したとの試算を報告した。

沖高3年の山元莉海さんは、群島間の人的交流について「身近な島同士で交流を深めることの方が、何か大きなことをするよりも取り組みやすい」と述べた。

最後に「あらためて離島モデルを考える」をテーマに石田塾長や中井さん、和泊町の前登志朗町長、知名町の今井力夫町長、同町企画振興課地球温暖化専門職の乾大樹さんら6人が総合討論した。今井町長は「二酸化炭素の排出を減らすだけでなく、吸収できるシステムを作る必要がある」と述べ、海洋生物などが吸収・貯蓄する二酸化炭素「ブルーカーボン」の重要性を挙げた。