約570株の被害確認

調査により道路沿いのソテツで被害を確認。葉が黄白色になり枯れているものも見られた(龍郷町の県道沿い)

カイガラムシ付着 ソテツ「集団枯れ」
道路沿い中心、適切防除を
県森林技術総合センター調査

ソテツの葉に植物の害虫であるカイガラムシが付着し、まとまって枯れる「集団枯れ」が発生しているが、県森林技術総合センター(岩元高治所長)は奄美大島(周辺離島を含む)と徳之島で被害の実態を探る調査を行った。その結果、奄美大島以外では被害は確認されず、道路沿いに植栽されたものを中心に約570株に虫の付着による葉の被害が見られた。カイガラムシの種類は特定されておらず、発生要因含めて調査中だ。

センターによると、調査は奄美大島で今月14~16日、徳之島で16~18日にあり、センター職員が2人ずつ現地入り。事前調査していた大島支庁林務水産課の職員も同行した。

被害の特徴は、▽葉や幹に白いカイガラムシが多数付着▽カイガラムシに吸汁され、ソテツの葉が黄化▽激害葉では、覆い尽くすようにカイガラムシが付着し、葉は黄白色▽カイガラムシは幹や芽の部分にも生息―があり、被害が続くと枯死する可能性もあるという。今回の調査によりこうした被害が確認されたのは奄美市と龍郷町のソテツ。岩元所長は「森林調査も行ったが、被害はそれほど多くなく一部にとどまっている。県道81号線の大熊―佐大熊間(奄美市名瀬)、久場―円間(龍郷町)の道路沿いを中心に場所によって被害が多い」と指摘する。

カイガラムシは「風によって運ばれる」と推測されているが、今回、被害を発生させている種類の特定はまだできていない。今年10月ごろから被害が目立った中、被害ソテツに次の芽が出るか回復の見通しについては、被害を与えている種類が特定されていないため不明という。

対策として同センターは、▽被害葉は切り落として処分▽被害葉を切った後、幹も含めて全体に薬剤(登録薬剤あり)を散布▽被害地周辺については、健全なソテツも冬季にせん定を行う―などを挙げる。一般的にカイガラムシは風による飛散や人の衣服などに付着して運ばれ分布を拡大することから、作業(被害ソテツの処理)の際は服装に付着しないよう注意しなければならない。

岩元所長は「地元市町村は管理する道路、公園、緑地などに植栽しているソテツを調査し被害が確認された場合は適切な防除(葉を切り落とし、飛散しないようビニール袋などに入れる)を進めてほしい。個人財産になるが、ソテツを自宅の敷地内などに植栽している住民のみなさんにも防除の協力を呼び掛けてほしい。官民の取り組みが奄美のソテツを守ることになる」と語った。

ビニール袋に入れて生ごみとして出す場合も注意が必要。収集車に運ばれるとビニール袋は車内で圧縮されることから、それによりビニール袋が破れカイガラムシが拡散、車内などに付着する可能性がある。分別回収することで防止できることから、センターでは市町村に検討を求めている。