鹿児島県議会一般質問

与論町でモデル取組み
部活動地域移行 運営団体立上げ、指導者派遣
不登校児童生徒過去最多、コロナ影響

 12月定例鹿児島県議会は9日、引き続き一般質問(最終)があり、柴立鉄平議員=自民党、鹿児島市・鹿児島郡区=、宝来良治議員=自民党、鹿児島市・鹿児島郡区=、大久保博文議員=自民党、鹿屋市・垂水市区=、日高滋議員=自民党、西之表市・熊毛地区=が登壇。中学校部活動の地域移行では、県内では昨年度から薩摩川内市と与論町で国の調査研究事業に基づくモデル的実践的取り組みが行われており、両市町とも教育委員会が中心となり運営団体を立ち上げ、地域のスポーツ人材を生徒の休日の活動に指導者として派遣していることが報告された。

 東條広光教育長の答弁によると、両市町の教委が立ち上げたのは地域部活動本部や地域部活動推進協議会。与論町では中学校1校のサッカー部や吹奏楽部などの指導に5人を指導者として派遣。指導者は個人として受けるのではなく受け皿となる団体からの派遣であり、両市町では指導者の費用については実施要領を定め、それに基づいた報酬(今年度与論町は1時間当たり1200円)を支払っている。

 国の方針では移行時期について、休日の学校部活動は2023~25年度を目途に「地域の実情を踏まえ段階的に進める」としている。地域移行の受け皿となる団体(運営団体)は、国が示した総合的ガイドライン案では総合型スポーツクラブやスポーツ少年団、体育スポーツ協会、各競技団体、民間事業者、大学など多様な団体を想定。また学校と関係する保護者会、同窓会、複数の学校の部活動が統合して設立する団体のほか、市町村が運営団体となることも想定している。

 地域移行に伴う課題について教育長は「国の検討会議などでは地域クラブ活動の受け皿となる運営団体の整備充実、指導者や活動する施設の確保、指導者に対する報酬や運営団体の活動費となる会費の在り方などが課題として指摘されている」とし、こうした課題に対し「どの地域にも当てはまる効果的で適切な唯一の解決策といったものがなく、地域の実情に合わせてさまざまな手法の中から地域に適したものを選択していくことが求められる」と述べた。

 県内における不登校の状況も取り上げられた。教育長の答弁によると、21年度の県内公立学校における不登校児童生徒数は小学校833人、中学校2153人、高校702人。前年度に比べ全体で699人増加し過去最多となった。増加要因として教育長は「(国と同様に県内でも)コロナ禍による生活環境の変化により、生活リズムが乱れやすい環境や学校生活にさまざまな制限がある中、登校する意欲が湧きにくい状況などがあった」を挙げた。

 県内における不登校の主な理由では各学校(小、中、高校)とも「無気力」「不安」が最多。これに次いで中学校では「いじめを除く友人関係をめぐる問題」「親子の関わり方」の順となっている。

 こうした不登校児童生徒の教育機会確保について教育長は「主体的に社会的自立や学校復帰に向かうよう一人ひとりの状況に応じた適切な支援等を行うことが重要」と答弁。学校では保健室や相談室を活用して受け入れ態勢の整備、オンラインで授業や学校行事に参加させる取り組みなどの事例があり、自宅にある児童生徒のタブレット端末を活用した学習支援も行われているとした。