西郷菊次郎縁・龍郷町PRラッピング電車

龍郷町をPRする京福電鉄に乗車した参加者(提供写真)

六調などを踊り古里を懐かしむ様子も見られた(提供写真)

町長や出身者ら 大島紬など着用し乗車
つながり再認識 京福電鉄に感謝状も

 京福電気鉄道㈱は昨年12月から、同社嵐山本線と北野線(通称・嵐電=らんでん=)で龍郷町をPRするラッピング電車を運行しているが、今月4日には同町の竹田泰典町長や関西在住の出身者らが乗車した。西郷隆盛の息子で同町出身の西郷菊次郎が第2代京都市長を務めた縁から実現したPR車両。古里を思う出身者含めて、つながりを再認識する機会となった。

 町企画観光課によるとラッピング電車は、県補助の地域振興推進事業を活用。菊次郎ゆかりの地である京都で都市交流PR事業として物産展を予定していたが、新型コロナウイルス禍で開催を見送り。それに代わって京福電鉄と町がコラボしてのPR車両(町をイメージした龍のロゴマークなどのラッピング、車内全シートの背もたれに実物の龍郷柄と秋名バラの大島紬使用)運行に乗り出している。

 運行は12月1日から始まり今月いっぱいの3カ月間を予定。嵐電が龍郷町をPRする様子はSNSを通して発信されるなど評判となり、出身者から「ぜひ乗りたい」との声が町に寄せられた。そこで地元からも出身者と共に乗車することを計画。竹田町長、町議会・前田豊成議長、町商工会・興ほずみ女性部長、同課・園田徳一参事とふるさと納税担当職員の計5人、出身者は関西奄美会の山口久義会長(龍郷町出身)、関西龍郷会の志村淳哉会長ら両郷友会組織の関係者ら総勢約70人で乗車した。

 参加者は大島紬の着物のほか、紬柄の法被や陣羽織を着用。四条大宮駅からラッピング車両を連結した貸し切りの電車に乗り込んだが、車内では奄美市笠利町屋仁出身の大学生、朝岡明紀さん(21)がサンシンとシマ唄「朝花節」など披露。参加者も一緒にシマ唄を口ずさんだり六調を踊ったりした。

 当時の様子について園田参事は「参加していただいた出身者のみなさんからは『コロナ禍で出身者同士の集まりがなく、きょうは久しぶりに再会できた。懐かしくシマを感じられた』など喜びの声が挙がった」と語った。

 竹田町長は「菊次郎翁の生誕160周年に合わせて昨年、記念式典開催を計画していたが、コロナの影響で開催できなかった。心残りだったが、県の事業を活用しゆかりの地である京都市で龍郷町をPRでき、菊次郎翁も喜んでいただいているのではないか。出身者も誇りに感じており、龍郷町とさまざまなつながりを再認識する場となった」と振り返った。

 PR車両を運行する京福電鉄には関西奄美会、関西龍郷会、龍郷町の連名で感謝状を贈呈。受け取った同電鉄の大塚憲郎取締役社長は感謝するとともに、「西郷菊次郎は京都市にとって恩人である」と紹介した。