イセエビ解禁 初セリ

セリ落とした大ぶりのイセエビを箱詰めするグリーンストアの呉忠一さん(21日、名瀬漁協)

密漁横行に危機感も
アオ価格は平年並み

奄美群島では21日午前0時からイセエビ漁が解禁された。奄美市の名瀬漁協(満林春男組合長)では午前6時半から市場でセリが始まり、7時頃には水揚げされたばかりのイセエビ類が次々と買い付けられていった。仲買人らの威勢のいい声が響き活気が感じられる一方、関係者からは密漁による不漁を危惧する声も聞かれた。

名瀬漁協の職員によると、初日の漁獲量はアオエビ(シマイセエビ)45・1㌔、アカエビ(カノコイセエビ)24・1㌔。最高価格は、水揚げの少なかったアカはキロあたり5500円と高値、アオは4500円と平年並みだった。ゾウリエビ(テゴサ)10・8㌔、セミエビ(アカテゴサ)4・4㌔、ニシキエビ(トラエビ)2・7㌔の水揚げもあった。

15㌔のアオエビを買い付けたグリーンストアの仕入れ担当・呉忠一さん(50)は「アカは高かった。アオのセリ値は普段と変わらない。仕入れたものは、本店(入舟店)のみ店頭に並べる」と足早に車に乗り込んだ。

同市名瀬長浜町の鮮魚店「リュウコウ」の田原竜孝さん(51)も「アオのみ15㌔仕入れた。1日は海水につけて生かしておく。お客さんの希望があれば」と話した。

初日に水揚げしたのは10漁業者。解禁の午前0時に合わせ出漁、10㌔を水揚げした座安俊朗さん(60)は「漁場に着くと、既に2隻の船が操業していた」と話した。「漁場によっては、海上保安庁の監視も行き届かず、密漁が常態化している」と、関係者は口をそろえた。

60歳代の潜り漁の漁師は「海に潜るとエビの数が目に見えて少ない。海水温の問題もあるが、密漁が不漁につながっている」と危機感を訴えた。

イセエビ類は県漁業調整規則で、5月1日から8月20日まで採捕が禁止されている。