県自然保護課 クロウサギ交通死対策に本腰

徳之島でも本格化したアマミノクロウサギ・ロードキル対策の侵入防止柵設置=21日、県道の徳之島町手々―金見間

徳之島北部に侵入防止柵500㍍
自動撮影カメラで効果検証

 【徳之島】県は、国指定特別天然記念物アマミノクロウサギなど希少種のロードキル(交通事故死)対策で、徳之島北部の県道花徳浅間線で県としては同島初となる侵入防止柵の設置に着手。2022年度に実施した瀬戸内町道・網野子峠線と同タイプ(高さ90㌢)。自動撮影カメラで効果を検証しながら保護対策を推進する(自然保護課)。

 「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の世界自然遺産登録にあたり、クロウサギのロードキル対策は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会が要請している4課題うちの一つ。奄美大島・徳之島でロードキル発生件数が増加し、対策が急務となっている。県側は、多発地点への侵入防止柵を有効視して、瀬戸内町網野子峠線を皮切りに着手。今年度は徳之島での同計画を示していた。

 環境省統計などによると、2022年中に徳之島で確認されたクロウサギの死体は計70件(うちロードキル40件)と過去最多を更新している。今年も計41件のうちロードキルが21件=20日現在=というペース。道路別では同島北部、今回の侵入防止柵設置区間、県道629号線(徳之島町手々~金見集落間)が最も多い。

 侵入防止柵の設置作業は受託者・㈱奄美自然環境研究センター(本社・奄美市)のスタッフら6人が来島して20日に始まった。侵入防止網の設置延長は500㍍(山手片側)。計12台の自動撮影カメラも設置して25日からモニタリングを開始。自然保護課の担当者は「クロウサギなど希少種の保護のため、侵入防止柵の効果を検証しながら保護対策を推進したい」と話した。

 一方、同ロードキル多発区間の現状を追い続け、警鐘を鳴らしてきたきた地元手々集落に住む政武文さん(71)=NPO法人徳之島虹の会理事長=は「クロウサギは、排せつ行動のため森林部から開けた路上に下りてきて、車の犠牲になっていることが考えられる。県の幹線道路への500㍍規模の設置は徳之島では初だが、一定の効果が確認できれば延伸して欲しい」と話した。