オールバリアフリー宿泊施設開業

伊仙町に新築開業したオールバリアフリーの宿泊施設(South Blue)=9月30日、同町伊仙

車いすで利用できるゆったりスペースの室内(幸の宿 徳之島)

パラスポーツ・観光の聖地に
伊仙町伊仙

 【徳之島】「全ての人たちが平等に楽しめる場所に」――。徳之島の伊仙町伊仙に、車いすで利用できるオールバリアフリーの1棟貸し宿泊施設が相次ぎ開業した。パラスポーツサポーター組織も連携し、同島の「パラスポーツ聖地化」「パラトライアスロン大会実現」にも期待を寄せている。

 これら施設は、㈲幸林工務店(同町伊仙、幸林正二代表取締役)が今年3月新築開業した「幸(こう)の宿 徳之島」(4棟)と、鹿児島市のパン工房「かんもぉ~れ」(勝原武市代表取締役、同町出身)が8月に新築開業した「South Blue(サウスブルー)」(3棟)だ。

 場所はいずれも同町西伊仙東のAコープ伊仙店近く。農村地域ののどかな環境下に、それぞれ木造平屋の一戸建てによる計7棟を新築。車いすで玄関スロープを伝って入室するとリビング、バストイレ、寝室、テラスなどをゆとりスペースで確保している。食事は付かないため、自炊ができるようキッチンには冷蔵庫や電子レンジ、オーブンなども設置している。

 両施設の運営支援には「徳之島のパラスポーツ聖地化」や「パラトライアスロンIN徳之島大会の実現」も目指しているNPO法人パラスポーツサポーター(大阪府摂津市、浅野由貴理事長)も連携している。

 3者は「徳之島には全バリアフリー対応の部屋を持つ宿泊施設はない。同じ志を持ち、まずはその第一歩に」として、運営コンセプトには「SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みに寄り添い〝誰ひとり取り残さない〟。障がいを持つ人々や高齢者など全ての人たちが平等に利用でき、スポーツや旅行を楽しめる施設」などを掲げている。

 30日は両施設の一般対象内覧会と町行政や観光関係を交えた懇親会もあった。

 ㈲かんもぉ~れ取締役の勝原緋百未(ひとみ)さん(61)=同町出身=は「(夫・武市さんと)2人の古里に恩返しがしたい。お客さまには、何も考えずのんびりとゆったりと過ごしてほしい。古里の素晴らしさに対する私個人の心境も込めて…」とにっこり。

 利用料金は1棟1人9900円(税込み)から。定員は5人(増員割引あり)。問い合わせ先は▽「幸の宿 徳之島」(電話090・8667・3144)▽「South Blue」(同080・2792・7910)。