22年度普通会計決算

実質単年度収支赤字9団体
財政力指数 最高奄美市も全て平均以下

 県は2日、県内の2022年度市町村普通会計決算(速報値)を発表した。歳入(前年度比3・9%減の1兆744億1400万円)、歳出(同3・8%減の1兆307億5900万円)とも前年度を下回り、2年連続の減少。決算収支で実質収支は全団体が黒字、前年度6年ぶりの黒字だった実質単年度収支は再び赤字に転じた。実質単年度収支の赤字は43団体中24団体で、この中には奄美の9団体も含まれており、奄美で黒字だったのは3団体にとどまった。

 352億800万円の黒字となった実質収支は前年度比33億7600万円減少。実質単年度収支の方は、224億4500万円も減少し赤字額は55億1600万円だった。

 市町村課によると、実質収支に表れない前年度からの繰り越しや積立金の積み立て・取り崩し、繰り上げ償還の影響を加味した最終的な収支の目安となるのが実質単年度収支。赤字となったのは県全体では前年度の6団体から18団体増加したが、奄美も前年度の2団体から7団体増えた。うち赤字額の最高は龍郷町の3億9800万円。黒字団体は大和村(1億3300万円)、宇検村(3100万円)、和泊町(1億8400万円)で、最高の和泊町は前年度(1億5900万円)を上回った。

 全体の歳入のうち自主財源は3789億1900万円(構成比35・3%)で、前年度比5・9%増、構成比でも3・3%の増。自主財源のうち地方税は2091億8300万円で、このうち市町村民税個人分が1・9%増、固定資産税が3・3%増となり、全体では2・6%の増となった。依存財源は6954億9500万円(同64・7%)で、前年度比8・5%減少。国県支出金の10・1%減が要因の一つとなっており、国庫支出金は13・1%減少した。

 歳出の主な状況は▽人件費1・3%増▽扶助費9・3%減▽公債費0・4%減▽普通建設事業費16・9%減―など。

 貯金にあたる積立金残高を奄美の市町村別にみると、奄美市(164億8600万円)、龍郷町(48億3200万円)、喜界町(40億9400万円)が上位。最少は大和村(14億3700万円)だが、全市町村が10億円以上となっている。

 県内市町村の財政指標をみると、財政力指数0・29(前年度と同じ)、経常収支比率90・5%(前年度比4・2ポイント上昇)、実質公債費比率(3か年平均)7・1%(同0・1ポイント上昇)。このうち経常収支比率は県内全市町村が上昇したが、高い団体では奄美市(93・9%)が県内最高で、財政構造の硬直化を表している。実質公債費比率は11年連続で県内全ての市町村が18%未満となり、地方債の発行に許可を要する団体はない。

 奄美の市町村の場合、財政力指数の最高は奄美市(0・27)だが、県平均(0・29)には届いておらず、全市町村が県平均以下。県内最高は鹿児島市の0・71。経常収支比率は奄美市、実質公債費比率は和泊町(16・4%)が最高。いずれも数字が高いほど財政状況の厳しさを示す。和泊町の実質公債費比率の高さは県内最高のワースト1位。同2位の三島村(12・8%)と比べ依然として突出している。