徳之島の活性化策提案へ調査

生産者らと意見を交わし、調査に取り組んだ学生たち(提供写真)

フィールドワークで島の課題探る
慶大経済学部のゼミ生

 【徳之島】地域振興を目的に調査研究する慶応義塾大学経済学部の橋口勝利教授(48)とゼミ生がこのほど、徳之島を訪れ、2泊3日の日程でフィールドワークを行った。一行は、農園の見学や実態調査、行政や地元高校生との意見交換などを通して、島が抱える課題の実態を探った。

 同ゼミは「地域活性化へ向けた歴史的研究」をテーマに昨年初めて徳之島に来島。今年は2班で、行政や教育、農業、金融など、多岐にわたる分野で視察・調査した。

 徳之島町役場では、高岡秀規町長を表敬訪問。徳之島が抱える課題についてプレゼンテーションし、農業振興や雇用創出へのアイデアを議論した。

 徳之島高校では生徒らとの交流会を催し、将来の展望やキャリアについて模索。島への関わり方で意見を出し合った。

 この他、コーヒーやサトウキビ農家、畜産業者なども訪問。後日、成果を取りまとめて地域側にも学生らが考えた活性化案を提案していくという。

 3回生の水谷雅さん(21)は「充実した3日間だった。印象に残ったのは、官民、移住者、地元住民など立場によって現状の捉え方が異なること。ただ共通するのは島を大切に思う心。〝貴重な自然や文化〟と〝新時代〟が共存する徳之島の未来を共に考えていきたい」と、これからの提案へ意欲を示した。

 フィールドワークを終え橋口教授は「徳之島は豊かな農産業を有しながらも後継者不足や販路確保に悩み、出生率は高いが人口減少の問題を抱えている」と述べ、「これはまさに日本全体の課題の縮図。今回の取材を取りまとめ、徳之島やふるさとへの活性化案を発信していきたい」と話した。