毒蛇ハブが「集団脱走」

「ハブの館」周辺で「脱走ハブ」の捜索にあたる職員ら関係者=24日夕、天城町役場

下校児童らを誘導する教職員ら=24日夕、天城小前

天城町役場「ハブの館」 職員ら50人で大捜索
2匹捕獲、9匹は発見できず

 【徳之島】24日午前10時頃、天城町役場敷地内にある毒蛇ハブの展示型保管庫「ハブの館(やかた)」から生きハブ1匹が逃げ出ているのを観光客が発見した。町職員が点検すると計16匹のうち11匹の姿が消えていた。緊急対策会を開き「ハブの逃亡」を緊急告知する一方、職員など延べ約50人が出て大捜索。うち2匹は捕獲されたが、午後6時現在、残る9匹は発見・捕獲に至ってない。

 同町役場正面側にある「ハブの館」はシャッター(見学者自由開閉式)と強化ガラス張りで構成。県とハブ生息地域の市町村によるハブ捕獲奨励買い取り事業(1匹あたり3千円)で、住民が捕獲した生きハブを保管・展示している。ちなみに前年度の町内買い上げ数は約2600匹だった。

 町関係者の話を総合すると、同日午前10時頃、ハブ見学に訪れた観光客3人が「ハブの館」の外の足元近くで「もしかしてハブ?」に気付いた。戦々恐々の通報で職員が駆け付けと、いるはずのない場所で側溝に逃げ込む「まさか」の姿を確認。

 機転を利かせて内部を確認すると残っていたのは「5匹だけ」。原因は、保健所のハブ回収日(20日)に床を洗浄した後、排水パイプ(直径約5㌢・金網なし)のバルブを閉め忘れていたことが判明し、「ハブ脱走」騒動に発展した。

 緊急対策会を開いて近隣の天城、平土野両集落に防災行政無線で緊急告知。役場正面に位置する天城小学校のほか天城中、樟南二高、幼稚園、保育所などにも注意を喚起した。測量棒などを手にした町職員や町委託作業従事者など延べ約50人が敷地内の側溝の内部や植え込みの中などを大捜索した。

 11匹のうち2匹については消防ポンプ車などを使った側溝内部への放水で溜桝(ためます)に流れてきたところを捕獲。9匹は日没までに見つかっていない。

 出没例の少ない市街地区での「ハブ脱走」騒動。天城小では下校時間帯に校長以下教職員らが校門前で立哨して、役場側には近づかないよう誘導する姿もあった。

 ハブ脱走騒動の震源地となってしまった同町役場は「町民の皆さまに深くおわびを申し上げます。まずは一刻も早くハブの確保に全力を期し、再発防止に努めます」(祷清次郎副町長)と陳謝した。