「空き家相談会」 龍郷町

龍郷町で行われた空き家相談会。奥は、相談に応じる伊藤藤吉弁護士(23日、りゅうがく館)

弁護士などが個別対応
相続・登記問題

 龍郷町は23日、りゅうがく館で、空き家を持つ人や相続の問題に悩む人を対象に、弁護士や司法書士などが個別相談に応じる「空き家相談会」(県空き家対策支援専門家派遣事業)を開いた。NPO法人あまみ空き家ラボ・佐藤理江代表(48)による「町内の空き家の現状と今できる対策」とした講演などもあった。約20人が参加した。

 講演を前に、同町地域おこし協力隊の森まゆみさん(43)が町内の空き家状況について説明。2022年度の調査で空き家は181軒、このうち所有者不明25%、危険空き家候補17%と報告。同隊には、年間約30件の相談があり、うち10件が活用につながったと話した。

 佐藤さんは、大家から同法人が空き家を借り上げ〝また貸し〟する「サブリース契約」の仕組みを解説。こうした物件の半数が未登記であることも説明した。

 「雨漏りがあっても、荷物が残っていても、手を入れずそのまま貸す。修繕は借り手が行う」と具体例も示した。奄美大島、徳之島、沖永良部3島で約80軒の契約に至ったという。

 地方空き家の生前整理や再生プランの提案などを行っているNPO法人結の夢来人(むらびと)・絆プロジェクトの村長で遺産整理士の有馬法久さんは、認知症による資産凍結を防ぐ「家族信託」などについて講演した。

 個別相談には11人が訪れ、弁護士、司法書士、不動産業者などが応じた。同町職員も対応にあたり、リフォームや解体などの助成金制度の説明を行った。

 70歳代の夫婦は「所有している家を貸していた親類が亡くなり残置物の処理に困っていた。最近ようやくめどがついたので、空き家バンクに相談したい」と話した。

 相続に関する相談も多かった。祖母名義で登記され40年を経過した空き家について、法テラス奄美法律事務所の伊藤藤吉弁護士に相談した50歳代の男性は、「家系をたどり、法定相続人を調べることが先決と言われた。兄弟で相談しなければならない」と表情は晴れなかった。

 森さんは「取り組み始めてまだ3年。一朝一夕に解決する問題ではない。継続していく」と語った。