奄美発祥の「浮き球三角ベースボール」

集まった首都圏のメンバー。なかには3チームも作ったという猛者・森本照剛さんも


どこからかこのままの形で流れ着いたという浮き球

首都圏大会が開催
「古里で全国大会を」

 【東京】奄美発祥とされる「浮き球三角ベースボール」首都圏大会の今季最終戦がこのほど、茨城県取手市で約20チームが参加して開催された。監督としてチームを率いる奄美出身の福永利信さん(58)は「いつか奄美で全国大会を」と古里での開催を熱望している。

 浮き球三角ベースボールは、作家の椎名誠さんが加計呂麻島(瀬戸内町)を訪れた際、渡連(どれん)海岸で漁師が浮き球と流木を使い遊ぶ風景にヒントを得て、発案したとされている。九州、関西、東北、北海道にもリーグがあり、全国で700人以上が楽しんでいるという。今回は首都圏リーグのチームが、取手市の利根川河川敷に集まった。

 全日本浮き球三角ベースボール連盟(ウ・リーグ)の公式ルールによれば、1試合5イニング(制限時間50分)で7人制(最低2人が女性)。投手は女性で、死球はなし、男性打者の打球が直接投手に当たった場合は、打者はアウト。内野は一塁をダブルベースにした三角形などとなっている。

 新宿、渋谷…チーム名はメンバーの会社や住所にちなんだもの。大和村今里出身の福永さんが監督を務める「矢来町下北団」に交じって記者も試合に出た。なんとかバットに当てるものの、風でフェアゾーンに運べない。守備でも不安定なボールの動きに合わせられず、チームの足を引っ張ってしまった。風に揺られる浮き球は、気まぐれで「楽しめればいいんだよ」と諭しているようだった。発泡スチロール製のボールは安全で、手袋や素手でも対応できる。老若男女問わず楽しめる印象だ。参加者の一人は「誰もができるし、チームの垣根を越えての反省会も最高」と笑顔だった。

 2019年に20周年を迎えた同リーグは、各地の海岸で清掃作業と合わせ試合に使用する浮き球も収集。岩手・陸前高田市で開催された大会は、震災後の被災地に歓声を響かせている。福永さんは「奄美で全国大会を開催できるよう、発祥地である地元との連携も深めていきたい」と意欲を語っている。

(高田賢一)