原風景「サンゴ石垣」残そう

サンゴ石垣の修復に汗を流す参加者たち

喜界町志戸桶 伝統的な手法用いて
住民や留学生が修復体験

喜界町の志戸桶集落で2日、サンゴの石垣修復体験があった。同町では少子化などの影響で石工がいなくなり、多くの塀がコンクリート製品に取って代わられている。参加した住民らは、先人が紡いできた貴重な原風景を自分たちの手で残そうと、修復作業に汗を流した。

島の成り立ちやサンゴ礁文化について学ぶ同町公民館講座「喜界島のジオを知る体験教室」の一環。受講生の他、喜界高校在籍のサンゴ留学生6人を含め約20人が参加した。

修復には、伝統ある風景を後世に残そうと2020年に立ち上げた「阿伝集落サンゴの石垣保存会」(武田秀伸事務局長、7人)のメンバーが出向いて、指導にあたった。直す石垣の長さは約10㍍。作業は、側面を大きめの築石で固め、隙間を小さなグリ石で埋める「野面(のづら)積み」と呼ばれる伝統的手法を用いて進められた。

参加者らは、振り分けた築石とグリ石を協力して運び、次々と石を積み上げていった。留学生らもハンマーで割るなどして隙間に合う石を調整した。作業は約1時間半。昔ながらの石垣が民家によみがえった。

同校1年でサンゴ留学生一期生の宮崎圭乃子さん(15)は「石が重くて大変な作業だったが、サンゴが生活の中で生きていると感じさせてくれた。携われてよかった」と喜び、武田事務局長は「石垣は昔から生活の一部で防風対策としての役割もある。阿伝では国立公園に指定されるなど、集落の大切な環境文化の一つ。先人の知恵に興味を持ってもらえれば」と話した。