結シアター手舞 卒業公演始まる

今年も観客を魅了している徳之島の小中高生らによる「結シアター手舞」の『島口ミュージカル結―MUSUBI』=23日、天城町防災センター

涙を誘った「愛加那」母子との別れのシーン

歴史文化を継承・熱演
徳之島の小中高生ら

 【徳之島】徳之島の小中高生らで活動する「結(ゆい)シアター手舞(てまい)」(53人)の「島口ミュージカル結―MUSUBI―卒業公演2023」が23日、天城町防災センターで始まった。明治維新の立役者西郷隆盛の遠島処分中の島民とのふれあいを、島口、シマ唄、闘牛など伝統文化もふんだんに織り交ぜて上演。初日の2回上演は約550人が鑑賞し、厳しい稽古を物語る完成度高い圧巻のステージで大いに感動させた。

 島口ミュージカル・結シアター手舞は「国民文化祭かごしま2015」を機に、当時の天城町内の中高生や町連合青年団で結成。その後「国文祭だけで終わりたくない」と徳之島3町の小中高生に拡大して継続。音楽・演技はプロの指導も仰ぎながら後輩たちへと継承している。、徳之島版のミュージカル文化を創出・発信し、進化を続けて9年目の今年は小学5年生から高校まで53人で構成している。

 ストーリーの時代背景は1862(文久2)年の徳之島。薩摩藩から再遠島処分となった西郷の人柄を師と慕い、京都にも同行した同島の青年・琉仲祐=のち徳嶋(とくのしま)仲祐=との志を中心につづった。伝説の妖怪ケンムンや陽気な島民たちとのふれあい、愛加那母子と再会や島唄「行きゅんにゃ加那」に乗せた別れのシーンもあり、シリアスに感動の涙、勇壮な舞踏ダンス、笑いありの演出で構成。約2時間ずつの熱演で魅了した。

 姉妹団体として4年前から交流する南大隅町の「南蛮フラッグ」からメンバー10人も昨年に続きダンスで共演して盛り上げた。

 初日の第1回上演で「西郷」役を務めた中村巧人さん(樟南二高3年)と「仲祐」役の梅園侑真さん(同1年)は終演あいさつで、スタッフやボランティアなど関係者、そして観客たちに感謝。6年目の中村さんは「先輩たちの背中を追い続けていたら卒業になる。辞めたい思ったこともあったが、公演のための頑張りを人生の支えにします。結シアターを今後続きます」とアピールした。

 第1回上演には徳之島町の町長や教育長らも招待した。高岡秀規徳之島町長は「鑑賞するのは2回目。子どもたちがふるさとの歴史を学びながら劇に仕上げてPRすることは素晴らしい。卒業後は島を出るが、この演劇を通じ『将来は島に帰って来たい』という価値観も生まれると思う」と話した。

 2日目24日の第3回上演は正午開演(空席あり)、第4回は午後6時開演(満席)となっている。