龍郷町で焼酎トレイル

焼酎ブレンドに取り組む参加者(4日、奄美大島酒造)
出来上がったオリジナル焼酎

国内外の観光・酒類業者に向けたモニターツアー
新たなコト消費で振興図る
ブレンドの試みも

奄美群島の情報発信に特化したブログなどを運営する㈱し~ま(深田小次郎代表)は4日、県酒造組合の委託を受け、国内外の観光・酒類業者に向けたモニターツアー「焼酎トレイルin奄美大島・龍郷」を実施した。参加者は、サトウキビの収穫から黒糖焼酎の製造まで、全ての工程を体験。オリジナルのブレンド焼酎を造る試みもあった。海外在住の輸出入業者・情報誌編集長らキーパーソンともいうべき立場の参加者らは初の試みを評価した。国内外から11人が参加した。

同ツアーは、焼酎を軸とした地域の魅力発信に取り組む県酒造組合が2022年度に県本土の3地区で実施。23年度は新たに龍郷地区などでの実施が決まり、同社が企画・立案した。

コンセプトは、原料の収穫から製造までの全工程を体験すること。奄美大島では初の試みとなる焼酎のブレンド体験を組み入れ、印象に残るコト(体験)消費観光を演出した。

サトウキビの収穫は同町戸口集落で、実際に使われる「うぎ(皮)はぎ鎌」などを使って行った。美ら海工房(奄美市笠利町)に持ち込まれ搾りたてのジュースを味わい、黒糖の製造工程も見学した。

奄美大島酒造で蔵見学の後、ブレンド体験。三つのブランドが並べられ、製造担当の水間貴浩さん(37)が蒸留の違い(常圧・減圧)、香りなど特徴を説明した。

参加者は、熱心にメモを取り軽く口に含むなどして、自分の造りたい焼酎をイメージしブレンドしていった。互いに飲み比べ、評価し合う参加者も多かった。

中國東方航空鹿児島支店長の瀬戸口朋子さん(47)は、「鹿児島の強みは離島。奄美の文化を知り中国へ発信したい。中国人は30~40度の酒を好む。嗜好も合う」と評価した。

シンガポール在住で、フィリピン、マレーシアなどへ向けた英語版日本情報誌編集長の桑原千春さん(54)は、「ツアーは細部までよく考えられていて学びもあった。それぞれの蔵の思いも伝わった」と好感触だった。

県酒造組合の田中完専務理事(焼酎マイスター)は、「焼酎の消費拡大、振興のために、奄美支部で取り組みを広げていってほしい」と期待を述べた。

ブレンド体験は同町の町田酒造、山田酒造でもあり、参加者は、蔵ごとの味を楽しみながら〝自分だけの焼酎〟造りを楽しんだ。午後5時頃からは、「大勝さくらまつり」の焼酎飲み放題に参加、頬を赤く染めながら住民らとの交流を楽しんだ。