説明を受けて「コーヒーチェリー」収穫体験した参加者たち=23日、伊仙町面縄
「徳之島コーヒー」の焙煎・抽出体験も
【徳之島】味の素AGF(本社・東京都渋谷区、竹内秀樹代表取締役社長)は、伊仙町や生産者会などと官民連携の「徳之島コーヒー生産支援プロジェクト」に取り組み7年。その育苗・栽培地の一つ「AGF・第2実証農場」(同町面縄)で23日、生産者会や一般対象の「コーヒーチェリー収穫祭」を初開催。「徳之島コーヒー」ブランドの確立と次世代に引き継ぐ6次産業化に期待を寄せた。
「徳之島コーヒー生産支援プロジェクト事業」は、味の素AGFや総合商社丸紅、伊仙町役場、徳之島コーヒー生産者会(32人)の4者連携(2017年6月に調印)で進めている。台風被害対策や土壌の改善、収穫した豆の精選機や焙煎(ばいせん)機不足など課題でも生産者会を支援してきた。新たな産業を「島の次世代に引き継ぐプロジェクト」(AGF)に位置づけている。
収穫祭には、徳之島コーヒー生産者会会員など関係者に一般住民ら合わせて約百人が駆けつけた。開会あいさつで大久保明伊仙町長は、先の東京・代々木公園の物産展会場で「純国産の徳之島コーヒー(1杯千円)はあっという間に売り切れた」。今後「防風対策に平張りハウスの導入も検討。徳之島コーヒーを国産コーヒーの象徴に」とアピール。
生産者会の泉延吉副会長(75)=同町面縄=も「産業として成り立つ作物と思い生産組織をつくって約16年。栽培は結構楽しい。収穫まで4、5年はかかるが、十分採算の取れる作物と思っている」と述べ、参画を呼び掛けた。
AGFの竹内社長は「国産コーヒーを作りたい、徳之島にコーヒー産業を届けたいとの思いで応援。コーヒーアイランド徳之島としてサトウキビやジャガイモに次ぐ、徳之島コーヒーの6次産業化を応援したい」とも述べ、地域振興のための支援を強調した。
参加者たちはコーヒーの木の枝で赤色や黄色に熟した実(コーヒーチェリー)を選んで一粒ずつ大切に摘み取って収穫。徳之島コーヒーの焙煎や抽出体験、試飲会も並行。定植間もないコーヒーの木には、家族など仲間単位で思い思いのイラストなど描いた記念の看板も設置した。
家族3人で参加していた公務員男性は「異動して来たが、この島でもコーヒーを作っていると聞いて参加。すごいと思った。収穫体験もできて良かった」と満足そうだった。
町当局(経済課)によると、「徳之島コーヒー」は今年10月を目標に商品化し、農産物直売所・百菜(ひゃくさい)を皮切りに島内販売を目指すという。