衆院本会議で改正奄振法が可決され、頭を下げる斉藤鉄夫国交相(インターネット中継画面から)
【東京】奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案が19日、衆議院本会議で可決された。今後、参議院に送付され、法案は年度内に成立する見通しとなった。同法案では、移住の促進、沖縄との連携が追加された。
本会議では、衆議院国土交通委員会の長坂康正委員長が出席。15日に行われた同委員会における審査の経過、結果を報告。「奄美群島及び小笠原の特殊事情に鑑み、有効期限をそれぞれ5年間延長するとともに、目的に移住の促進を追加すること。奄振法の基本理念に沖縄との連携を追加し、両地域の人流や、物流の活性化を図るもの。本案はさる12日に、国土交通委員会に付託し、翌13日に斉藤国土交通大臣に主旨の説明を聴取、15日に質疑を行い、終了後、採択の結果、全会一致で可決すべきものと議決された」とした。委員長報告後に採決。報告内容への異議はなく、本会議でも可決した。
県選出衆院議員の三反園訓氏(鹿児島2区・無所属)は「改正奄振法成立の見通しが立ったことは、感無量です」とした上で「沖縄との航路・航空路運賃の軽減などが盛り込まれ、観光面での連携も促進される。これらを生かして奄美群島の発展につなげていけるよう、努力したい。これからの10年が大事でインフラ整備や防災、生活面からも(奄振法は)欠かせないだろう」と語った。
また、保岡宏武氏(比例九州ブロック・自民党)は「沖縄との連携追加は、大きな意義がある。沖縄振興法との関係や課題をクリアしながら奄美と沖縄が一体となった、均衡ある発展が重要だ」と語った。本会議可決の瞬間は「地元で要望を聞いたことや委員会での質疑などが、走馬灯のようによぎった」と振り返った。
改正奄振法では、これまで通り奄美群島の
自立的発展、住民の生活の安定及び福祉の向上、定住の促進を図ることを目的として、奄美群島の特性に応じた産業の振興または住民生活の利便性の向上などに資する事業を支援する、奄美群島振興交付金を充実。特に2021年に世界自然遺産に沖縄と一体として登録されたことを契機に、沖縄との連携強化や観光消費の促進に資する事業への支援を拡充。また、国境離島としての役割が一層重要となる一方、人口減少のさらなる進展等も踏まえ、移住・定住の促進や主要産業の稼ぐ力の向上に資する事業への支援を拡充するものとしている。