9、10日「奄美黒糖焼酎の日」

奄美黒糖焼酎の多くの銘柄が取り扱われ、販売されている専門店「酒屋まえかわ」

出荷量、県外は徐々に伸び
首都圏など 販路開拓へ「統一イベントを」

 5月9日と10日は「奄美黒糖焼酎の日」だが、今年に入っての出荷量は地元を含む県内は前年を下回っているものの、県外は上回っている。新型コロナ禍以前に徐々に戻っているが、大規模な需要がある首都圏などでの知名度向上へ個々の銘柄ではなく奄美黒糖焼酎全体を統一したイベント開催を業界は求めている。

 県酒造組合奄美支部(乾眞一郎支部長)のまとめによると、2022酒造年度(22年7月~23年6月)の奄美黒糖焼酎課税移出数量(出荷量)は県内が4042㌔㍑(前年比90・0%)と1割減少。県外の方は2913㌔㍑(同115・7%)で2割近く伸びた。

 今年に入ってからの出荷量は、前年比で1月87・6%、2月99・3%、3月89・8%となり、2月はほぼ前年並みだが、1月と3月は1割超の減少となった。県内と県外別に前年比でみると、1月は県内97・8%、県外77・3%といずれも減少。年末年始の贈答用や忘年会など飲食店での需要が伸びた12月の反動とみられている。2月は県内98・4%、県外100・2%、3月は県内79・2%、県外105・7%となり、2か月連続で県外は伸びた。

 乾支部長は「今年の3月までジェトロ鹿児島との3年間の米国西海岸でのプロモーション事業により、奄美黒糖焼酎の認知度も以前より向上しているとの成果報告があり、今後も国内と並行して需要拡大を図っていく必要がある」と指摘する。事務局によると、国内では本格焼酎よりも甲類や日本酒が好まれている首都圏、東北地方、北海道での販路拡大が課題という。事務局は「本格焼酎の日(11月1日)に合わせて鹿児島市でイベント(焼酎ストリート)が開催されているが、県本土では芋焼酎が主流。県外での需要を伸ばすためにも首都圏で大規模なイベント開催を実現してほしい。個々の蔵元の中には物産展参加などで取り組んでいるが、多くの蔵元の参加により奄美黒糖焼酎全体の周知が図られる。予算が必要なことから県などの行政機関、関係機関の協力により独自のイベント開催ができないか」と提案する。試飲後に販売することで、都市部の人々の関心が高まるという。

 奄美黒糖焼酎の日は、5(コ)9(ク)10(トウ)の語呂合わせ。奄美の伝統文化として継承されてきた黒糖焼酎の全国発信と産業振興につなげようと2009年に制定された。関連したイベントは奄美黒糖焼酎女子倶楽部(渡悦美部長)が第5回目となるイベント「月ぬきゅらさ~や―I LOVEシマー」の開催(奄美観光ホテルで午後6時30分受け付け、同7時スタート)を計画している。