徳之島亀徳港で水中清掃ボランティア

赤土混濁の海中からはミニバイクも出現して驚かせた=25日、徳之島町亀徳港
水中・水辺清掃ボランティアに参加した関係者たちと回収ごみ

海洋環境の保護を
NPO「海未来」や地元ダイバーら

【徳之島】ボランティアダイバーを募り、水中環境保護活動「海と日本プロジェクト」を展開する特定非営利法人「海未来」(大阪府吹田市)主催の水中及び水辺の清掃活動が25日、徳之島町亀徳港の漁船だまりであった。18人(関西6人・島内12人)が参加。サンゴ礁に熱帯魚が群れる日頃親しむダイビングスポットとは真逆で、最も汚れやすい港湾施設の水中投棄ごみの回収にも貢献した。

海未来は、貴重な観光資源である豊かな海洋環境の保護などを目的に2008年、ボランティアのダイバー有志らと協力し観光地の水中投棄ごみを回収する活動を開始。海辺や水辺、陸上及び水中の清掃と生物保護、サンゴの再生活動なども行っている西日本唯一のNPO法人。

徳之島での水中清掃活動は今回が初。海未来の彦坂弘久事務局長(67)=大阪府=と同島のダイビング案内業「マリンサービス海夢居(かむい)」(徳之島町諸田)の鈴木竜爾(りゅうじ)代表(50)の20年以上の交流と、同プロジェクト参画が縁で実現した。水辺の清掃や水中ごみの引き揚げなどには同町企画課職員らも協力した。

スキューバダイビングでの約1時間の海底探索だったが、現場は亀徳川(県2級河川)の河口域に位置し、赤土など流出土砂が袋小路状になった泊地内に滞留・堆積(たいせき)しやすいとみられる。ダイバーたちは足ひれで巻き上がった泥で「視界ゼロ」「方向感すら失う」という最悪の状況の中で手探りで探索した。

悪戦苦闘の末に水中から回収した投棄ごみは、ミニバイク(約80㌔)1台をはじめ船舶用とみられる大型バッテリー、電動工具、古タイヤ、アルミ製脚立、リール付き釣りざお、その他空き缶などの総量は約153㌔。同港湾整備後初とみられる水中清掃で回収した品目と量で二度驚かせた。

海未来の彦坂事務局長は「明らかに故意の投棄もある。海に捨てると沈むので罪悪感が薄れるのだと思う。(港湾関係は)ここだけの問題ではない」と指摘。同島ダイビング・ファンの一人として「交通アクセス(鹿児島乗り換えが必要)の面で奄美大島より観光客は少ない分、海の自然の美しさは勝っている。一度訪れるとリピートで再訪するダイバーが多い」とも話した。

マリンサービス海夢居の鈴木代表も「水中清掃のノウハウがあり、今回は一番汚れている港湾を対象にした。地元ダイバーたちも日頃はきれいな海で遊んでいるが、ボランティア協力に感謝。これを機に継続したい」と話した。