「ウケユリ」保護へ協議

瀬戸内町請島の大山で咲くウケユリ(22日撮影)

ウケユリの自生地で生育状況を確認する保護団体ら(22日、瀬戸内町請島)

瀬戸内町・請島 自生地の現地視察も
同行規制の運用方法確認

 瀬戸内町教育委員会などは22日、奄美群島の固有種「ウケユリ」の視察を同町請島の自生地、大山(標高398㍍)で行った。町立図書館・郷土館職員ほか、町文化財保護審議会(山元俊二会長)、「池地みのり会」(三ノ京浩人会長)が参加。生育状況の確認とともに会合が開かれ、町が2006年以降、大山入山時に義務付ける「みのり会」の同行について、運用方法などを意見交換した。

 ウケユリは請島ほか奄美大島や加計呂麻島、与路島、徳之島に限定的に自生するユリ科の多年草。環境省レッドリストで、「絶滅危惧種ⅠA類」(近い将来、絶滅の可能性が高い野生生物)に分類。県は請島の自生地(大山地域)を天然記念物に指定している。

 今回の視察では、大山の2か所で、ウケユリの生育状況を確認。自生地で今年2月、環境省の許可の下、採光目的で枝打ち作業が実施されたが、「開花時期の遅れから、花の数は少なかった」(同館職員)など現況を確認した。

 大山への入山は、町への申請と「みのり会」同行による案内が義務付けられており、会合では会員らが同行状況を報告。案内者数の維持に向け、池地集落以外にも、将来的に請阿室集落や古仁屋の住民から協力を募る、パトロール業務を部会化するなど協議した。

 大山の入山件数(観光、調査研究など含む)の報告もあり、16年度以降、18年が39件と最多でコロナ禍(20年5件、21年6件)後は22年11件、23件14件と推移。「町の規制は観光ではなく保護が目的。件数の増減は問題ない」(同館職員)「請島のアピールのためにも増やしたい」(みのり会会員)など意見を交わした。

 同館の文化財担当職員は「開花時期の定点観測は必要。今後も希少種の保全に向け保護審議会とともに視察、協議を続けたい」とした。