多用途支援艦あまくさから名瀬港へ支援車両を降ろす隊員たち
奄美空港に到着し輸送機C―130Rから降りる医療関係者たち
地震や津波など複合災害を想定した県総合防災訓練(県、奄美市主催)の一部訓練が25日、奄美市内で始まった。海上自衛隊による本土からの海上・航空輸送の実施は県訓練では初めて。奄美市の名瀬港では多用途支援艦あまくさが接岸し、奄美空港では輸送機C―130Rが降り立つなど、市内に救援物資や支援人員を届けた。26日は、県や市、自衛隊、海上保安庁、消防、関係事業者など官民約80機関が連携し、市内各地で訓練を展開する。
多用途支援艦あまくさ(栄木博文艦長)は海上自衛隊佐世保地方隊所属で、県内の訓練参加は初めて。24日は県から物資輸送を要請する連絡を受け、午後3時に情報通信車や県の車両計4台を乗せ、鹿児島港から同港のマリンタウン緑地公園に出発した。
25日午前8時頃、全長65㍍、排水量980㌧を誇る同艦が名瀬港に到着。迷彩服を着た隊員らが次々と船を降り、搭載するクレーンで支援車両をふ頭に運び入れた。任務を見届けた栄木艦長は「有意義な訓練になった。離島でも輸送ができるといういい実績ができた」と話した。
一方、海上自衛隊厚木基地第61航空隊の輸送機C―130Rは「多数の負傷者が発生している」との一報を受け、鹿児島空港へ飛び立った。鹿児島空港では県の医療関係者約50人を迎え入れ午後0時半頃に出発。同1時35分頃に奄美空港へ運び入れた。奄美駐屯地に出向しトリアージを統括するという医師で日本D―MAT隊員の田中秀樹さん(57)は「民間機とは違い乗り心地は非常に悪かったが、こうして経験できたことが何よりだ」と笑顔だった。
多用途支援艦あまくさ、輸送機C―130Rの両機は26日、同港、同空港で一般公開を行う予定だという。
26日の訓練は、約80機関・1000人超が参加し、▽情報伝達▽住民避難▽物資輸送▽避難所運営▽防災意識啓発▽海上捜索・救助―などを実施。訓練統監を塩田康一知事、同副統監を安田壮平市長が務める。