奄美駐屯地が初参加

初めて奄美駐屯地で行われたSCU設置・運営訓練(26日、奄美市名瀬)

物資輸送や広域搬送
他機関との連携図る
県総合防災訓練

 県総合防災訓練が25日から始まり、陸上自衛隊奄美駐屯地は訓練2日目の26日、物資輸送など各訓練を奄美市内で行った。瀬戸内分屯地含む隊員約100人が参加。物資輸送訓練は、市内道路の寸断を想定し徒歩で実施。合同災害対応訓練では、SCU(広域搬送拠点臨時医療施設)を駐屯地内に設置。避難、救助の手順を確認し、他機関との連携を図った。

 今年開設5周年を迎えた奄美駐屯地が、県総合防災訓練に参加するのは今回が初。地震や津波など複合災害が想定され、情報伝達や住民避難、避難所運営のほか倒木、土砂を除去する合同の道路啓開(復旧)訓練なども行った。

 物資輸送訓練は、奄美警備隊の隊員17人が参加し、午前8時前、駐屯地を出発。目的地の避難所(奄美川商ホール)に向けて県道58号、奄美市役所など経由し、約15㌔の道のりを約3時間かけ到着。ペットボトル、水缶など水約160㍑、携行食約100食分を運搬、各所での配布や休憩を挟みながら任務を完遂した。同駐屯地が同市内公道で徒歩訓練を行うのは、今回が初。

 SCU設置・運営訓練は、県の災害派遣医療チーム(DMAT)や大和村の日本医師会災害医療チーム(JMAT)、自衛隊、消防など島内外の10機関約40人が参加。訓練では診療、搬送調整部門に分かれ、救急車などで天幕に運ばれた傷病者約10人に対し、医務室など利用しながら応急処置を実施。各部門の連携とともに、患者搬送の手順を確認した。

 天候不良などでドクターヘリや自衛隊機を用いた搬送訓練はなかったが、統括DMAT、県立大島病院救命救急センター長の中村健太郎医師(40)は「奄美駐屯地は高台にあり、医療環境も災害時の重要な拠点となる可能性がある。県と検証を重ねていきたい」と話した。