徳田虎雄氏
医療グループ「徳洲会」創設者で元衆院議員の徳田虎雄氏が10日、神奈川県の病院で死去した。86歳だった。同グループの旗印となっている「生命(いのち)だけは平等だ」「年中無休24時間オープン」を掲げ、救命救急医療、奄美群島での病院・診療所開設など離島・へき地医療の充実に貢献。患者本位の医療を実践するとともに、政界に進出し衆院議員を通算4期務めた。
1938年生まれで、徳之島町出身。65年に大阪大学医学部卒。大阪府の公立病院に勤務後、73年に同松原市に徳田病院(現・松原徳洲会病院)を開設。75年に医療法人徳洲会を設立した。
離島やへき地、過疎地域など国内だけでなく開発途上国など国内外を含めて病院や診療所、福祉・介護施設を開設した。2002年、全身の筋肉が動かなくなる進行性の難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)の診断を受けるも13年まで理事長を務め、徳洲会を全国70病院、350施設、年商4200億円、従業者3万人(当時)という国内最大の民間病院グループに育て上げた。
90年衆院選に旧奄美群島区から出馬し、初当選。同区は当時、全国唯一の一人区で、衆院議員を13期務め法務大臣にも就任した保岡興治氏と群島を二分する激しい「保徳戦争」を繰り広げた。旧鹿児島1区と合区した93年も連続当選。小選挙区制導入後の2000年、03年は鹿児島2区で当選した。95~96年には村山富市内閣で沖縄開発政務次官を務めた。
05年9月にあった当時の小泉純一郎内閣による郵政民営化を問う「郵政解散」総選挙には出馬せず、前月の8月に勇退を表明。発表した談話では「次の総選挙も立候補の予定で体調回復に努めていたが、今回の解散が予想外に早かった。私の体調回復が十分でなく残念ながら政界を引退する決意をした」とした。政界進出にあたっては自由連合を結党した。