黒糖焼酎をテイスティングする仏の有名ソムリエたち
製造工程の視察では歴史的背景なども合わせて説明された
鹿児島本格焼酎の輸出や販路拡大に向け、フランスの有名ソムリエらを招いた視察ツアーが18日、奄美市名瀬の蔵元で始まった。九州経済産業局が手掛ける「九州酒類プロモーションツアー」の一環で、県や県酒造組合らが連携。蔵元を訪れたソムリエらは試飲や工場見学を通じて、奄美群島が誇る黒糖焼酎に熱い視線を注いだ。
ツアーは、鹿児島を含め、福岡、長崎、熊本の4県を巡る23日までの5泊6日で実施。海外市場に本格焼酎を広める目的で、フランスの日本酒コンテスト「KuraMaster」に所属するトップソムリエや5つ星ホテルのバーマンら10人を迎えて、本格焼酎の可能性を探ってもらう。
一行は、同小浜町にある弥生焼酎醸造所の蔵に入り、川崎洋之代表(52)の案内でユネスコ無形文化財に登録された伝統的酒造りの製造工程を視察。米麹(こうじ)作りや一次仕込み、蒸留といった作業の説明を受け、施設を見て回った。
見学後は、KuraMaster本格焼酎・泡盛コンクール2024でプラチナ賞に輝いた「弥生ゴールド」など5種類の黒糖焼酎が試飲で振る舞われた。原料に使用した3種類の黒糖も食べ比べながら、グラスに注がれた酒をテイスティング。「フルーティー」「とても香りがいい」と感想を話し合っていた。
パリにあるバー・ヌーヴォーのオーナー兼バーマンのサラ・ムードゥローさん(31)は黒糖焼酎について「本当に大好き。日本の繊細さや緻密(ちみつ)さを体現した焼酎だ」と喜び、「フランスはワインの国で、お酒に対する認識の違いもある。カクテルなどとして薦めれば入りやすいかも」と売り込み方法を提案していた。
ツアーに同行した県酒造組合の田中完専務理事は「焼酎の輸出はまだ少なく長い目が必要。奄美を感じながらトップの人に味わってもらうことに意味がある。空気感と楽しさをフランスに持ち帰り、広めてほしい」と話した。
19日は、奄美大島酒造、西平酒造、富田酒造場を視察し、奄美きょら海工房で製糖も見学。20日は、霧島市に立ち寄り熊本へ向かう。