「奄美を守るために」を演題に安全保障など講演した陸上自衛隊奄美警備隊長兼奄美駐屯地司令、長谷川健1等陸佐(18日、奄美市名瀬)
南西諸島を取り巻く安全保障環境や抑止力の重要性、自衛官たちによる奄美での地域貢献活動の様子を伝える講演会が18日、奄美市名瀬のアマホームPLAZAであった。「奄美を守るために」を演題に、陸上自衛隊奄美警備隊長兼奄美駐屯地司令、長谷川健1等陸佐(48)が講話。奄美の平和と将来のために、訓練への理解を呼び掛けるとともに、一島民としての地域貢献活動の様子を伝えた。
2024年度奄美市生涯学習講座「奄美の将来像を学ぶ」(花井恒三さん主宰)の最終回(11回)講座。専任講師が奄美の近現代史を説く中、長谷川氏の受講をきっかけに現役自衛官による一般向け「安全保障」講座が実現した。
長谷川氏は奄美群島を取り巻く安全保障環境について、奄美大島と横当島間(公海)の中国海軍艦船の航行が23年6回、24年8回あったほか、昨年初めて中国軍無人機が奄美大島沖を飛来したと報告。また、戦前の歴史をひも解き、旧海軍が1896(明治29)年、大島海峡を望む曽津高埼灯台(瀬戸内町)を建設するなど、地政学的特性を指摘。九州本土と沖縄本島の中間、シーレーン(海上交通路)近くにある「海上輸送の要」と位置付けた。
地域貢献活動については、奄美市総合計画の施策に沿った取り組みを紹介。▽児童の見守り活動▽大規模災害対応を想定した物資輸送訓練▽避難場所に関する協定書締結―など、奄美の将来を見据えた「一島民」としての地域活動を説明した。
長谷川氏は「外交努力で戦争を未然に防ぐことが最も重要だが、国を確実に守り抜く力を持つと思わせる抑止力が必要」とし、各種訓練への理解を呼び掛けた。
元自衛官、奄美市名瀬の大田宏さん(73)は災害派遣を経験。「(10年の)奄美豪雨では日数が経過して九州本土から災害派遣された。奄美に駐屯地ができたことは、島民にとって安心感につながる」とし、「自衛隊の作戦行動は住民の協力が不可欠。地域との一体化、相互理解を期待したい」と話した。