「島のブルース」でパトロール

メロディーパトロール中のパトカーが近づいた際、子どもたちが振り向き、警察官らに声をかける光景も

奄美市笠利町の3駐在所
好評、地域住民との距離近く
メロディーパト 視覚だけでなく聴覚にも

 「ながい黒髪、島むすめ」――。一節口ずさんでしまいそうなメロディーを流すのは、奄美市笠利町内をパトロールするパトカーだ。同町内の赤木名駐在所、笠利駐在所、節田駐在所は6年ほど前から三沢あけみさんのヒット曲「島のブルース」を放送しながらのパトロールを続けている。赤木名駐在所の石原英明巡査部長は「地域の人からは、もっと流してほしいという声もある」と話す。

 音楽を放送しながら管内を巡回する「メロディーパトロール」は、視覚以外に、聴覚に訴えかけることで、パトロールをしていることを広く周知し、犯罪予防や交通事故防止を図るもの。奄美署管内では2012年10月から一部の駐在所で始めたが、現在も実施しているのは笠利町内の同3駐在所のみ。「笠利は人情が厚い。都市部ですると苦情につながってしまうのでは」と笠利駐在所の山元政裕巡査。

 シマンチュに馴染み深い「島のブルース」の選曲は周囲からも好評。今年3月の異動で赤木名に赴任した石原巡査部長は「みんな知っているし、テンポもちょうどよいからこの曲が選ばれたのでは」と推察。自宅にいる住民にも安心感を与えることができるというメリットもある一方、赤木名駐在所の德重克年巡査は「地域の人たちとの話のネタにもなるし、顔も覚えてもらえる。警察官と住民との歩み寄りにつながる」と別の利点も見出す。

 近隣の小中学校の授業中は周辺通行時に音量を下げるなど配慮も十分。各駐在所、所外活動時は必ず放送するようにしているということで、幼稚園児らがパトカーに乗車する警察官に手を振る姿も多く見られる。節田駐在所の樋口智之巡査部長は「好評を得ているし、我々としてもその実感がある。続けていければ」と語った。