クルーズ船寄港地誘致断念

西古見地区へのクルーズ船寄港地誘致断念を記者らに発表した鎌田愛人町長

 

鎌田町長「受け入れ条件整備困難」
瀬戸内町

 瀬戸内町の鎌田愛人町長は23日、同町役場で、町が検討していた同町西古見・池堂地区への大型クルーズ船寄港地誘致の断念を発表した。鎌田町長は「町内の合意形成が不十分で、提言内容を順守するには長期の時間を要し、住民感情を含めた受け入れの条件整備は困難。一連の議論に終止符を打ち、誘致を断念することを決断した」と語った。

 同町西古見地区へのクルーズ船寄港地誘致計画は、2017年8月に国土交通省が発表した「島嶼=しょ=部における大型クルーズ船の寄港地開発に関する調査の結果」に基づき推進。同年12月に町は県に対し、支援を求める要望書を提出した。

 18年10月からは町民の要望を受け、有識者らを交えた検討協議会を立ち上げ。町に最適なクルーズ船寄港地の在り方を協議。今月8日にあった第5回検討協で7項目にわたる提言書を承認し、鎌田町長に提出した。

 鎌田町長は計画について、「地域振対策の具現化への焦りから、民意が十分に反映されず、配慮に欠けた事務手続きが行われた」とし、「事実に基づかない内容が町民の間に浸透し、対立構図ができるなど、長期にわたり不安と混乱を招いたことに大変申し訳なく、責任を感じている」と陳謝した。

 断念理由について、提言書にあった「専門家の意見を交えた適切な対策」、「多様な意見を聴取する透明性のある組織づくり」に長期の時間を要することなどを挙げた。町民の中で賛否が分かれている状況も鑑=かんが=みたという。

 また、今後のクルーズ船寄港誘致については、「船社などから別の寄港地についての話が出てきた場合も、提言に沿った受け入れ態勢を整えていきたい。現在行っている古仁屋港を利用したクルーズ観光の誘致は積極的に取り組んでいきたい」。今後の西方地区の地域振興については「長期振興計画の着実・確実な実現をすることと、戦跡・自然を活用し、住民との話し合いの中で、活性化を推進したい」とした。

 鎌田町長は同日夕方には西古見地区で、住民に計画断念を報告。国・県にはすでに報告済みという。住民説明会の予定はなく、広報誌やSNS、地元ケーブルテレビを通じ、広報する。